[I-OR13-01] 発作性にショックを繰り返し、診断に難渋した間欠性大動脈弁閉鎖不全の新生児症例
Keywords:AR, ショック, 新生児
【緒言】間欠性大動脈弁閉鎖不全(Intermittent AR)は稀な疾患で、大動脈弁左冠尖 (LCC) の構造異常が原因とされている。発作間欠期はAR は消失もしくはわずかで、診断は困難である。原因不明のショックで搬送され、診断に難渋した症例を経験したので報告する。
【症例】日齢 23、女児。
啼泣後に顔色不良となりショック状態で近医を受診、3次救急病院を経て、第2病日に当院ICUへ搬送された。前医で施行した心エコーでsevere AR及び左室収縮低下を指摘された。入院後、V-V ECMO 及び CHDF を導入し集中治療を行った。入院直後には severe AR を認めたが処置後には trivial に改善していた。第16病日、哺乳中に呼吸不全となり、心エコーで左室収縮低下、massive MR 、moderate AR を認めた。12誘導心電図で、V1-2 の ST 低下、V3-6 の ST 上昇があり心筋虚血が疑われた。鎮静・挿管により数時間で所見は改善した。心臓カテーテル検査を施行したが、冠動脈の異常は認めなかった。新生児、乳児での報告はないが経過から冠攣縮性狭心症を疑い、両親の同意を得てカルシウム拮抗薬を開始した。第66, 67病日に同様の発作があり、心エコーで LCC の開放位固定が原因と考えられるsevere AR を認め、緊急カテーテル検査を施行した。麻酔導入で発作は消失し、ドブタミン負荷では発作を再現できなかったため、麻酔を中止、抜管して啼泣させたところ発作が出現した。カテーテルを LCC に挿入すると AR は消失した。第68病日に大動脈弁形成術を施行し、以後発作の再発なく経過している。
【考察】原因不明のショックや心筋虚血、突然死症例の中に、本疾患が含まれている可能性があり、循環器・救急領域で認知される必要がある疾患と思われた。
【症例】日齢 23、女児。
啼泣後に顔色不良となりショック状態で近医を受診、3次救急病院を経て、第2病日に当院ICUへ搬送された。前医で施行した心エコーでsevere AR及び左室収縮低下を指摘された。入院後、V-V ECMO 及び CHDF を導入し集中治療を行った。入院直後には severe AR を認めたが処置後には trivial に改善していた。第16病日、哺乳中に呼吸不全となり、心エコーで左室収縮低下、massive MR 、moderate AR を認めた。12誘導心電図で、V1-2 の ST 低下、V3-6 の ST 上昇があり心筋虚血が疑われた。鎮静・挿管により数時間で所見は改善した。心臓カテーテル検査を施行したが、冠動脈の異常は認めなかった。新生児、乳児での報告はないが経過から冠攣縮性狭心症を疑い、両親の同意を得てカルシウム拮抗薬を開始した。第66, 67病日に同様の発作があり、心エコーで LCC の開放位固定が原因と考えられるsevere AR を認め、緊急カテーテル検査を施行した。麻酔導入で発作は消失し、ドブタミン負荷では発作を再現できなかったため、麻酔を中止、抜管して啼泣させたところ発作が出現した。カテーテルを LCC に挿入すると AR は消失した。第68病日に大動脈弁形成術を施行し、以後発作の再発なく経過している。
【考察】原因不明のショックや心筋虚血、突然死症例の中に、本疾患が含まれている可能性があり、循環器・救急領域で認知される必要がある疾患と思われた。