[I-OR13-03] 左右短絡性疾患に対する心臓カテーテル検査結果における全身麻酔の影響
キーワード:心臓カテーテル検査, 全身麻酔, 肺血管抵抗
【背景】当院では、従来自科による静脈麻酔のもと心臓カテーテル検査を行っていたが、2017年より麻酔科医による全身麻酔下での検査に移行した。左右短絡性心疾患に対するカテーテル検査では全身麻酔の影響を加味した結果の解釈が必要であるが、血行動態に及ぼす影響に関する報告は少ない。【方法】2017年7月以降、全身麻酔下に行った1歳未満の心室中隔欠損(VSD)患者に対するカテーテル検査27例を後方視的に検討した。体制移行前に自科麻酔下で施行したVSD患者連続30例を対照群とした。PS、AS、CoA等、短絡量に影響を及ぼしうる構造異常を合併した患者は除いた。【結果】全身麻酔群は全例挿管下(室内気)で施行され、自科麻酔群は自然気道の下で施行された。平均年齢は0.25歳 vs 0.33歳で、やや全身麻酔群が低年齢の傾向にあり(p=0.07)、VSD径およびVSD径/体表面積は全身麻酔群:7.5±1.7mm、30.6±9.5mm/m2に対し、自科麻酔群:6.5±1.6mm、25.8±7.6mm/m2と全身麻酔群で大きかったが(p<0.05)、Qp/Qsは両群間で有意な差はみられなかった(3.07±1.06 vs 2.93±1.02、p=0.31)。RpIは全身麻酔群において有意に低かったが、(1.92±1.39 vs 2.56±1.33 Wood U・m2、p=0.04)、RsIも同じく全身麻酔群で低くなっており(11.5±2.7 vs 12.8±3.1 Wood U・m2、p=0.04)、肺体血管抵抗比(Rp/Rs)に有意差はなかった。検査開始時のpCO2は全身麻酔群で有意に低値であった。(38.5±4.6 vs 45.1±6.1mmHg、p<0.01)【考察、結論】同一患者間での比較ではないことがlimitationであるが、左右短絡性疾患に対する全身麻酔下カテーテル検査では、人工換気と麻酔薬の使用によって肺血管抵抗、体血管抵抗がparallelに低下し、結果として肺体血流比は過大評価されないかもしれない。ただし、肺・体血管抵抗とも平常時よりも低い状態をみている可能性があり、手術適応および周術期管理の判断に使用する際は留意が必要である。