[I-OR13-04] 心室中隔欠損を合併している乳児における左室流入血流速波形と僧帽弁輪運動速波形の変化の検討
キーワード:左室流入血流速波形, 僧帽弁輪運動速波形, VSD合併乳児
【背景】前回本学会で乳児の左室流入血流速波形(TMF)や組織ドプラ(TDI)による僧帽弁輪運動速波形(e'、a')は月齢と共に増大し、拡張能の発達及び生理的肺血管抵抗の低下、すなわち左室前負荷の変化が寄与すると報告した。今回左室前負荷が高いVSD合併乳児で検討した。【目的】VSD合併乳児のPWDTMF及びe'、a'の変化を検討する。【対象と方法】2009年1月から2018年12月に当院で心エコーを施行したVSD合併乳児でその他合併心奇形や染色体異常を除く正常心機能の乳児612例の上記評価項目を後方視的に検討した。【結果】PWD、TDIは各々データの得られた349例、303例が対象。月齢毎の対象数、平均値(E,A,cm/sec)、E/A<1の数(%)はPWDでは、1か月未満:23、101.2、88.1、9(39%)、1か月:50、97.8、91.5、21(42%)、2か月:45、97.5、86.1、10(22%)、3か月:57、94.1、79.2、11(19%)、4か月:37、103.4、83.9、3(2.7%)、5か月:28、99、89.2、6(21%)、8か月:29、97.3、80.5、3(10%)、11か月:15、108.6、85.3、2(13%)。TDIの対象数、平均値(e’、a’,cm/sec)、e’/a’<1の数(%)は1か月未満:16、7.8、7.7、11(69%)、1か月:41、7.9、7.3、26(63%)、2か月:42、8.78、8.3、14(33%)、3か月:47、8.54、7.82、18(38%)、4か月:33、9.2、7.9、8(24%)、5か月:25、9.5、8.8、7(28%)、8か月:28、10.3、8.3、5(18%)、11か月:15、10.4、8.8、4(27%)。E,Aは正常構造心の乳児より有意に(<0.05)高値で月齢毎に変化しない。e’は有意差を認めず月齢と共に増大した。E/A<1、e’/a’<1は3か月以下で4か月以上より有意に多かった。【考察】VSD合併乳児は従来の報告通りE、A波は左室前負荷が高いため正常より高値だがe’は月齢毎に増大し拡張能の発達を反映していると考えられる。またE/A<1、e’/a’ <1は正常構造心同様3か月以下で多く拡張能の成熟と相関している可能性がある。