第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

心不全・心移植

一般口演14(I-OR14)
心不全・心移植

2019年6月27日(木) 09:40 〜 10:20 第7会場 (204)

座長:先崎 秀明(北里大学医学部新世紀医療開発センター 小児循環器集中治療学)
座長:犬塚 亮(東京大学医学部附属病院 小児科)

[I-OR14-02] 当センターでEXCORを装着している幼児の体格変化が送血管形態に与える影響に関する検討

進藤 考洋1, 真船 亮1, 小川 陽介1, 榊 真一郎1, 林 泰佑1, 三崎 泰志1, 小野 博1, 平田 康隆3, 金子 幸裕2, 賀藤 均1 (1.国立成育医療研究センター 循環器科, 2.国立成育医療研究センター 心臓血管外科, 3.東京大学医学部附属病院 心臓外科)

キーワード:EXCOR, 心臓移植, 小児

【背景】2018年12月31日時点において、運用可能なEXCORは国内に19台あるものの、体格の小さな小児における心臓移植は国内において年間2~4例に留まっており、必然的に長期管理を余儀なくされる例が多い。長期管理中に、体格の変化が起こるが、その際に上行大動脈に縫着され、上腹部に癒着しながら体外に出る送血管および大動脈形態に変化が起きているかどうかについての報告はない。当センターでEXCORを装着している症例は、装着後840日を越えて尚、心臓移植を待機中であるが、胸腹部の造影CTを複数回撮像しているため、送血管形態や体格の成長について検討を加えた。【結果】症例は3歳の男児。左室心筋緻密化障害による心不全に対して1歳3か月時にEXCORを装着した。装着直前の身長・体重は70cm・9.2kgであったが、1年後には82cm・11kg、2年後には92cm・12kgに成長した。CT撮像は装着前、装着後1年、および2年の時点で行っている。矢状断で測定した送血管の大動脈側湾曲部と刺入部の距離はいずれも117mmで変化がなかった。刺入部と腰椎の距離は67-68mmで明らかな変化がなかった。刺入部から肺尖部までの距離は168mm(1年)、172mm(2年)であり、身長変化に対して変化率は小さかった。【考察】小児の体格変化は、乳児期の大きな身長変化の後に成長カーブが緩和される特徴に加え、乳幼児期は座高に比して脚長の成長カーブの方が大きい、などの年齢に依存した特徴がある。自験例では送血管婉曲部の形態変化の有無を正確に評価し得ないが、明らかな形態変化は認められておらず、身長変化に比して送血管形態に不利に働くほどの胸郭形態の変化はなかったと考えられた。