[I-OR15-01] 学校心臓検診から見た心筋緻密化障害の臨床像
キーワード:学校心臓検診, 心筋緻密化障害, 予後
【目的】学校心臓検診(心検)は種々の心疾患、特にQT延長症候群の早期発見、症状出現の防止に役立っていることが報告されているが、学校心臓検診における心筋緻密化障害患者の診断や臨床像については明らかとなっていない。【対象と方法】心筋緻密化障害の臨床像と学校心臓検診の寄与を明らかにするために、小児の心筋緻密化障害患者を対象に後方視的にコホート研究を行った。【結果】対象は0~18歳までに診断された心筋緻密化障害患者105例(男子67例、女子38例)であった。診断契機は、学校心臓検診が45例(43.4%)、症状が25例(24.0%)、家族検診が6例(5.8%)であった。その他の心合併症は6例(5.8%)にみられた。心外合併症は13例(12.4%)にみられた。家族歴では、心筋症が17例(16.5%)、突然死が8例(8.1%)、心血管病が7例(8.0%)であった。治療は37例(35.9%)で行われていた。心移植は1例(1.0%)、死亡は4例(3.8%)であった。院外心肺停止は5例(4.8%)であった。ホルター検査では、VPCが22例(1.0%)に、VTが1例(1.0%)に認められた。心イベントの有無で2群間比較した場合、診断時年齢、心外合併症、治療の有無、初診時のX線上の肺鬱血の有無、初診時および最終受診時の心臓超音波のFSおよびEFにおいて有意差が見られた。【結論】学校心臓検診においてfragmented QRS、J波、右脚ブロックといった心電図異常が心筋緻密化障害の検出の一助になると思われた。心電図、心臓超音波所見による診断基準の確立、症状出現前の生活指導、薬物療法・非薬物療法開始基準の確立が必要と考えられた。【研究協力者(敬称略)】太田邦雄、住友直方、大野聖子、畑忠善、牛ノ濱大也、田内宣生、櫨木大祐、土井庄三郎、小垣滋豊