[I-OR15-04] 補助人工心臓治療を要した小児急性期劇症型心筋炎の検討
Keywords:劇症型心筋炎, VAD, ECMO
【背景】劇症型心筋炎は急速に心原性ショックへと進展し補助循環治療が必要となる場合があり、小児VADおよび心移植施設である当院には、peripheral ECMOでは循環補助が不十分な劇症型心筋炎が搬送される。今回、当院におけるVAD治療を要した小児劇症型心筋炎の成績を、VAD離脱症例の詳細な経過を交えて報告する。【患者】対象は2013年から2018年までに当院でVAD治療を要した劇症型心筋炎8例。年齢 2-16 (中央値11)歳、BSA0.59-1.51 (中央値1.25)m2であった。【結果】内科的治療のみで当院に搬送された症例が1例、心肺停止で当院に搬送され直ちにperipheral ECMO (p-ECMO)を導入した症例が2例、p-ECMOを導入して当院に搬送された症例が5例で、全例当院でtemporally VAD (LVAD 2例, BiVAD 6例)へconversionした。3例が死亡し、死因はbystander-CPRでなかったことによる低酸素脳症 (2例)と脳出血 (1例)であった。植込み型VADへ移行した症例は3例で、そのうち2例は心移植に到達した。VAD離脱が可能であった症例は2 例であった。1例はLVADおよびRA ventを装着した後、4568 U/Lまで上昇したCK値は術後5日目に正常化、術後10日目にLVEF 51%まで改善し、術後10日目にVAD離脱となった。もう1例は前医でp-ECMO挿入後にLA-ventを追加され、当院搬送後LVADにconversionした。術後3日目でCK値は正常化、術後6日目にLVEF 68%まで改善し、術後7日目にVAD離脱となった。この症例はpeak CKが817 U/Lと8例の中で最低値であった。また、VAD離脱例は離脱不能例に比べCK値の正常化がVAD装着後早期に得られた (離脱不能例 2-6週)。【まとめ】VAD治療を要した小児劇症型心筋炎8例のうち5例を救命できた。VAD離脱例ではVAD装着後早期にCK値の改善を示す傾向があった。小児劇症型心筋炎では早期のVAD装着が予後を左右する可能性があり、VAD治療が可能な専門施設への可及的早期の搬送が不可欠であると考えられた。