[I-OR15-05] 劇症型心筋炎におけるECMO離脱後の心機能低下遷延化予測因子
Keywords:劇症型心筋炎, 予後予測, 慢性心筋炎
【緒言】劇症型心筋炎にはECMO離脱後も慢性心筋炎や拡張型心筋症に移行する例がある.我々はECMO流量を減量し循環を評価する離脱チャレンジテスト(WCT)を行い,離脱のタイミングを判断する.WCT中の循環指標や心筋傷害マーカーからECMO離脱後の予後を予測しうるかを後方視的に検討した.【方法】対象:劇症型心筋炎の診断でECMO導入,離脱した8例.WCTは補助心係数(CI-ecmo)を段階的に減量し心エコー指標計測.ECMO離脱後早期に心機能が改善した良好群(5例)と,慢性心筋炎または拡張型心筋症に移行した不良群(3例)の2群間で以下を比較検討.自己心係数(CI-own),その時点のCI-ecmoとの和である総心係数(CI-total),それぞれの増加率,左室駆出率(EF),収縮末期左室壁応力(ESWS),心拍補正左室平均円周短縮速度(mVcfc),および両者の関係式(mVcfc=1.25-0.0055*ESWS, SD=0.075)からmVcfcのz値を求めた.心筋傷害マーカーとしてトロポニンT,ヒト心臓脂肪酸蛋白(H-FABP),ミオシン軽鎖I(MLC-I)のそれぞれ経過中ピーク値およびWCT前値.【結果】循環指標では不良群は良好群に比し,WCT時のCI-own増加率(9 vs 53 %),mVcfcのz値(-0.40 vs 1.03),EF(44 vs 63 %)が小さく,CI-total減少率(16 vs 5 %)が大きい傾向であった.心筋傷害マーカーは不良群でH-FABPピーク値(97.8 vs 45.8 ng/mL)およびMLC-Iピーク値(66.0 vs 23.3 ng/mL)が高い傾向であった.【まとめ】WCT中の循環指標,心筋傷害マーカーとも有意差はなかったが,ECMO離脱後の予後を予測する可能性が示唆された.今後の症例の蓄積が必要である.