[I-OR16-01] 新生児頭蓋内動静脈短絡疾患6例に対する出生後の循環管理
Keywords:頭蓋内動静脈短絡, 動脈管開存, 心不全
【背景】新生児期発症の頭蓋内動静脈短絡疾患(CAVS)は、頭蓋内短絡を介した容量負荷により高度右心不全に陥る事があり、生後は厳格な循環管理に加え、脳血管内治療(CIV)の適切な施行時期を判断する必要がある。【目的】新生児CAVFの循環管理とCIVの適応を判断する指標を明らかにする。【対象と方法】当院で新生時期に治療を行ったCAVF6例を後方視的に検討。【結果】疾患分類は、ガレン大静脈瘤 2例、硬膜動静脈瘻3例、pial AVF 1例。5例は胎児診断例で、1例は生後診断例。在胎週数は中央値38(37-41)週で、全例帝王切開で出生。初回退院までにCIVを行ったのは4/6例であり、2/4例は複数回治療を要した。3例(胎児診断2例、生後診断1例)は、生後suprasystemic PHのため、日齢0もしくは転院日に、動脈管維持のためPGE1CDを要した。CIVは、PGE1CD開始当日かその翌日に施行され、2/3例は初回治療後に動脈管が左右短絡優位となり、PGE1CDを中止できたが、1/3例は日齢0の初回治療後もPHが改善せずに追加治療を要した。残りの3例は、日齢0-1に動脈管の血流が左右短絡となったため、PGE1CDは不要と判断。うち1例は、心不全治療のため日齢8にCIVを要したが、残り2例はCIVなしで退院した。利尿剤は全例に投与したが、PDE5阻害薬とカテコラミンの併用は、PDA維持を要した2例に対してのみ必要だった。この2例がPDE5阻害薬とカテコラミンを中止するまでに、それぞれ2回と4回の血管内治療が必要だった。合併症は、頭蓋内出血により1例死亡したが、心血管イベントによる死亡はなかった。【結語】生後suprasystemic PHを来す重症例に対しては、PDAを維持しながら早急にCIVを行う必要があり、その適応や治療効果の判断には、動脈管の血流方向が良い指標であった。また、初回CIV後も残存短絡のため心不全が改善せず、内科的管理では治療困難な場合には、循環動態が安定化できるまでCIVを積極的に施行して短絡量を減じる必要がある。