[I-OR16-04] 急性心筋炎にて当院Cardiac ICU入室となった症例の長期予後の検討
Keywords:急性心筋炎, 補助循環, 長期予後
【背景】急性心筋炎の予後は様々である。致死性不整脈や循環不全を呈し、Cardiac ICUにて補助循環の導入を余儀なくされる症例も多い。そして長期予後は明らかではない。【目的】Cardiac ICUに入室した急性心筋炎の長期予後を明らかにすること。【対象/方法】対象は2006年1月~2018年12月の期間に当院 Cardiac ICU入室に至った13例で、診療録を用い後方視的に検討した。【結果/予後】死亡例は認めなかった。補助循環導入を要した症例は7例であった。7例全例で補助循環からの離脱が可能であった。また、補助循環導入/維持に伴う有意な合併症を認めなかった。その7例の内、3例で心肺蘇生処置を施行されたが、補助循環導入に並行して心肺蘇生処置を施行されたのは1例であった。当症例は頭部MRIにて軽度の低酸素性虚血性脳症の像を呈したが、有意な神経学的な後遺障害を残さなかった。補助循環導入を要しなかった症例は6例であった。その6例の内、心肺蘇生処置を要した1例では、同時に一時的ペーシングを施行されたが、神経学的な後遺障害を残さなかった。人工呼吸管理を要さなかった症例は3例であった。13例中、内服薬による抗心不全治療中の症例は6例であった。【考察】今回の検討では補助循環を要した症例でも、死亡例は認めなかった。有意な合併症を認めなかった。心機能も正常範囲に改善していた。心肺蘇生処置を要した例でも、補助循環導入までに適切な心肺蘇生処置が行われれば心機能の回復を認め、有意な神経学的後遺障害を残さなかった。【結語】心肺蘇生処置と積極的な補助循環導入により、急性心筋炎の長期予後が改善する事が示唆される。