第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

染色体異常・遺伝子異常

一般口演17(I-OR17)
染色体異常・遺伝子異常

Thu. Jun 27, 2019 3:50 PM - 4:40 PM 第7会場 (204)

座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)
座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[I-OR17-01] マルファン症候群の子どもと家族への支援―認定遺伝カウンセラーが見るマルファン外来の現状と今後の課題

張 香理1, 朝海 廣子2, 犬塚 亮2, 武田 憲文3 (1.東京大学医学部附属病院 ゲノム診療部, 2.東京大学医学部附属病院 小児科, 3.東京大学医学部附属病院 循環器内科)

Keywords:マルファン症候群, マルファン外来, 認定遺伝カウンセラー

【背景と目的】マルファン症候群は診断確定し適切な時期に適切な処置をすることでQOL向上が期待できることから、当院では2005年にマルファン外来を設置、マルファン症候群や類縁疾患をもつ(または疑われる)方に対して、小児科、循環器内科、心臓外科、整形外科、ゲノム診療部等が連携し対応している。また2018年からは認定遺伝カウンセラー(CGC)が同席し、遺伝子検査前後の情報提供を含め遺伝性疾患に特有な患者のニーズに対応している。今回はCGCが小児科でこれまでに関わった症例について整理し今後の課題や支援について考察する。【方法】2018年4月から2019年1月までに小児科マルファン外来でCGCが関わった87件について、主にカルテから対症疾患と家族歴の有無、遺伝子検査の実施状況、相談内容等を後方視的に分析した。【結果】受診者の平均年齢は11.6歳で、男児69%、女児31%であった。対象疾患はマルファン症候群63件(88.7%)、ロイス・ディーツ症候群5件、類縁疾患3件であった。家族歴があるのは33件(46.5%)、ないのは38件(53.5%)で、遺伝子検査は57件(81%)で実施、47件で遺伝子変異が同定されており、結果に応じて適切な医療を提供することが可能だった。CGCへの個別の相談内容で多かったのは「子にどのように疾患説明をすべきか」で、中には親が子の疾患を受け止めきれず、自責の念を抱くケースも見られた。子からの相談では「見た目が恥ずかしい」「いつまで薬を飲むのか」「自分の子に遺伝しないか心配」などの声があった。【考察】CGCに個別相談をしたのはいずれも家族歴のないケースであり、彼らは家族歴のあるケースと比べて疾患理解や対処に困難が生じる可能性が大きいことが考えられた。今後は家族歴のあるケースでの困難さ、また悩みの性差や年齢差にも注意し、子どもの成長段階や理解力に合わせて正確な遺伝医学情報の提供や心理社会的な支援を、長いスパンで行っていく必要があるだろう。