[I-OR17-03] 心内修復術を行なった先天性心疾患を合併する18トリソミー 13例の検討
Keywords:18トリソミー, 先天性心疾患, 長期予後
【背景】近年,姑息手術, 心内修復術を含めた心臓手術により, 先天性心疾患(CHD)を合併する18トリソミーの生存期間が延長するという報告が散見されるが, 心内修復術に限定した報告は少ない.当院では全身状態や家族の希望に応じ心内修復術を視野に入れた積極的な外科的介入を行なってきた. 【目的】CHDを合併する18トリソミーで心内修復術に到達できた症例の背景, 臨床経過の検討.【方法】2006年1月~2018年12月に当院で心内修復術を施行したCHDを合併する18トリソミーの診療録を後方視的に検討した.【結果】13例(男/女=1/12例,在胎週数35週1日~42週1日(中央値39週3日,出生体重は1362~2288g(中央値1826g))であった. 主疾患の内訳は,大動脈縮狭窄複合(CoA)3例, 心室中隔欠損(VSD)9例,両大血管右室起始(DORV) 1例で, 重篤な心外奇形合併例はなかった. 9例に動脈管開存(PDA)を, 1例に心房中隔欠損(ASD)の合併を認めた. 11例に姑息術として肺動脈絞扼術 (日齢6~75日(中央値29日))が施行され, そのうち6例はPDAクリッピング術または結紮術を, CoAの2例は大動脈再建を同時に施行された. 心内修復術施行時の月齢は4~50ヶ月(中央値22ヶ月),手術時体重は1.9~8.8kg(中央値 5.9kg)であった. 10例で術前に呼吸補助が導入されており, 在宅酸素療法が3例,non-invasive positive pressure ventilation(NPPV)が4例,気管切開後が3例であった.心内修復術後のICU 滞在期間は6~55日(中央値6.5日),入院日数は16~210日(中央値27.5日)で92%(12/13例)が生存退院した.術後1年生存率は89%(8/9例)で生存退院した全例が生存した.観察期間の中央値は19ヶ月(0ヶ月~8年9ヶ月)で,最終フォローアップ時(2019年1月)に77%(10/13例)が生存し,心不全による死亡例は認めなかった.【結論】重篤な心外奇形のない心臓疾患を合併する18トリソミーにおいて,心内修復術が予後を改善させる可能性がある.