[I-OR17-04] 18トリソミー児の心疾患に対する肺動脈絞扼術の至適時期の検討および根治術の長期成績
Keywords:18トリソミー, 肺動脈絞扼術, 先天性心疾患
[背景] 心疾患を伴う18トリソミー(T18)は左右シャントによる肺高血圧が早期に進展しやすいことが生命予後に影響する事が知られ, また当院では心疾患合併のT18に対して生後30日を超えて肺動脈絞扼術(PAB)を施行した症例は経験的に予後不良であると認識している. [目的] PAB施行時日齢30日以内であることの妥当性を評価し, 次いでPABのみで経過した群(PAB群)と心内修復術に至った群(ICR群)の予後を比較する. [方法] 2005年1月~2018年12月(13年0ヶ月)に, 当院でT18と診断された106例のうち, PAB群50例とICR群15例を検討した. [結果] 観察期間は0-5154日(中央値291日), 106例のうち102例が標準型, 4例がモザイク型, 男:女35:71, 出生体重1710±439g, 在胎週数37.0±3.1週, Apgar score 1min 4.1±2.4, Apgar score 5min 7.0±2.0. PAB群とICR群の出生児患者背景に有意差は認めなかった. PAB群50例のPAB施行時日齢の中央値30日(6~190日)で, 内訳は34例がPAB+PDA閉鎖, 7例がPAB単独, 7例が両側PAB, 2例がPAB+Coarctectomyであった. PAB日齢と生存日数の間に負の相関の傾向を認め(r=-0.0114, P=0.185), ROCカーブにて得られたPAB日齢のカットオフ値は33日(感度75.0%, 特異度76.2%), AUCは0.708(95%CI: 0.438-0.978)であった. PAB施行日齢33以上の群と以下の群における5年生存率は19.8%と66.5%であった(Log-rank, P=0.080). PAB群とICR群の生存率は全期間においてICR群で高値であり, 5年生存率は43.6%と78.0%であった(Log-rank, P<0.05; 一般化wilcoxon, P<0.05). [結語]当院におけるPAB施行日齢の目標30日以内は統計学的にも妥当であった. 病態が許せば根治術に至る方が,生命予後が良い.