第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

染色体異常・遺伝子異常

一般口演17(I-OR17)
染色体異常・遺伝子異常

2019年6月27日(木) 15:50 〜 16:40 第7会場 (204)

座長:前野 泰樹(聖マリア病院 新生児科)
座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター 循環器科)

[I-OR17-05] 劣性遺伝心筋症の1家系における責任遺伝子単離

中釜 悠1, 古谷 喜幸2, 中西 敏雄2, 平田 陽一郎1, 犬塚 亮1 (1.東京大学 小児科, 2.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード:心筋症, エクソーム, 遺伝子改変動物モデル

【序文】肥大型心筋症の約半数は優性遺伝を思わせる家族歴を有し、現在知られている責任遺伝子の多くは大家系を対象とした連鎖解析、候補遺伝子アプローチによって同定されてきた。その後エクソーム解析が台頭し、希少劣性遺伝病の分子病態の解明が飛躍的に進んだ。心筋症をはじめとした遺伝性心臓病の責任遺伝子探索にも広く応用されているが、劣性遺伝心筋症の遺伝子単離の報告は少ない。
【方法・結果】劣性遺伝肥大型心筋症の1家系に対しエクソーム解析を実施した。バリアントのアレル頻度、in silico予測、表現型との共分離に則り、責任遺伝子の候補を検索した。バリアントの絞り込みの結果、leucine zipper like transcription regulator 1遺伝子上に、病原性が予測される複合ヘテロ接合性レアバリアントを認めた。候補遺伝子の機能を個体レベルで解析するために、患者変異を模倣する機能喪失型変異を導入した遺伝子改変動物モデルを樹立した。ホモ接合体個体の解析では、心肥大の疾患表現型が再現されていることが確認された。
【考察】最近、同遺伝子機能の異常が細胞増殖シグナルの撹乱をきたし、先天異常症候群や腫瘍性疾患の病態形成にかかわることが、相次いで複数グループから報告された。心肥大における重要パスウェイの一つとしても知られる細胞増殖シグナルに、新たなパートナー因子の登場を示唆する一連の仮説を、我々の結果も支持している。