[I-OR18-01] 診療支援システムを用いた急性心不全の予測 ~第2報~
キーワード:急性心不全, 予測モデル, 診療支援システム
【背景】小児循環器疾患では患者の状態が不安定で、様々な要因から循環動態が急激に悪化し、集中治療を必要とすることも少なくない。後から、病状やカルテを振り返ればその前兆を認めていることもあるが、実際にはその場では気付けないことも多い。一方で、近年院内に蓄積される膨大なデータを有効活用する診療支援が注目されており、バイタルサインなどの診療データを用いて循環動態悪化の予測ができる可能性がある。【目的】小児循環器疾患の循環動態悪化を事前検出できる予測モデルを作成し、その予測モデルを組み込んだ診療支援システムを構築する。【方法】2015年1月から2017年12月までに当院に小児循環器疾患で入院した患者のデータを収集し、7歳未満の患者のデータのみを用いて循環動態悪化の予測モデル作成および精度検証を行った。機械学習アルゴリズムを用いて循環動態悪化の発生有無とその直前数日間のバイタルサインなどから計算される計90種類の特徴量の関係性を学習し、循環動態悪化の2日以内にその発生を予測するモデルを作成した。予測精度の検証は、学習に使用したデータとは別の検証用データを用いた。なお、本研究では循環動態悪化の定義は、「緊急手術などの高度侵襲的介入」、または「カテコラミンなどの急性心不全治療薬の投与」とした。作成した予測モデルは、電子カルテと連携した診療支援システムに組み込むことで運用した。【結果】812人のデータを用いて予測モデル作成および精度検証を行った結果、作成した予測モデルの精度は検証用データでAUC=0.80であった。診療支援システムでは、循環動態悪化が予測される患者がリアルタイムに検出され、画面上にアラートとして通知された。また、胸部レントゲン像やバイタルサインなどの様々な診療データが一画面内で閲覧可能であるため、循環動態悪化予測の妥当性確認や次の治療の判断を行うことが期待出来る。