第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

その他

一般口演18(I-OR18)
その他 2

2019年6月27日(木) 16:40 〜 17:30 第7会場 (204)

座長:三浦 大(東京都立小児総合医療センター 循環器科)
座長:片山 博視(大阪医科大学 小児科)

[I-OR18-02] 診断カテーテル方法の工夫による包括的心血管機能評価と循環動態理解

松村 峻1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 桑田 聖子2, 本田 崇2, 高梨 学2, 菅本 健司2, 齋木 宏文2, 先崎 秀明2 (1.埼玉医科大学総合医療センター 小児科, 2.北里大学病院 小児科)

キーワード:心臓カテーテル検査, 心血管機能, 循環動態

心臓カテーテル検査は、循環理解のために必須な心血管内圧の測定を可能にする唯一の方法であるが、他のモダリティを組み合わせたり、少し工夫を加えたりすることで、より詳細でダイナミックな心血管機能、循環動態の理解が可能になる。まず、カテーテルによる血管内圧の測定からは、様々な指標により血管の硬さ、反射、心筋酸素需給バランス等に関する情報が得られ、種々の病態解明に応用できる。一過性下大静脈閉塞や腹部圧迫による心室圧の変化を心エコーやコンダクタンスカテーテルによる心室容積変化と組み合わせることにより心室固有の収縮性や拡張能、心室Energetics、心血管統合関係を基本にした循環動態を理解することができる。下大静脈閉塞中の心拍出量の変化からは脳血流の推定も可能である。下大静脈閉塞中やValsalva法による静脈圧変化と動脈圧変化からは、平均循環充満圧を推定でき、色素希釈法による循環血液量の測定と合わせ、Guytonの静脈還流曲線に基づくうっ血の予備能や心拍出量制御として重要な静脈血行動態を評価できる。ペーシングによる心拍数変動における圧測定は、心室予備能、潜在性拡張障害や心筋小胞体のカルシウムハンドリングの能力も算出可能である。造影後の静脈圧変化を測定することにより静脈キャパシタンスと心拡張予備能も推定できる。超音波やFlowセンサー付きのガイドワイヤーによる血流測定を組み合わせると、血管床の包括的な情報としての血管インピーダンスや、血流脈波としての挙動をその起源や性質から解析できるWave Intensityを算出することができる。以上のように心臓カテーテル検査による圧測定をベースに工夫を加えることで、個体の循環動態を形成するそれぞれの要素とそれらが織りなす結果の静的、動的動態を深く理解することが可能となる。