[I-P01-01] ECMOを要する小児心筋炎に対する当院の包括的治療戦略
キーワード:心筋炎, ECMO, 集中治療
【目的】小児心筋炎は時に致死的な転帰を辿るが、小児集中治療施設の増加に伴う患者集約化・ECMO管理の質向上により近年の報告では転帰は改善傾向にある。当院の症例を調査し、治療戦略の現状と今後の課題を検討した。
【方法】2010年3月から2018年12月の間に当院PICUに入室しVA-ECMO管理を要した心筋炎患者を対象とした。診療録から症例の治療経過と転帰について情報を抽出し後方視的検討を行った。
【成績】対象は17症例であった。年齢は中央値6歳7ヶ月(0 - 11歳6ヶ月)、体重は中央値18.4kg (3.0 - 48.0kg)、男女比は10:7であった。ECMO導入理由はECPR 4例、低心拍出状態5例、不整脈8例であった。低心拍出状態でECMO導入となった症例のinotropic score最大値は16であった。経皮的カニュレーションを第1選択としているが、2例(12%)が開胸下ECMOであった。大腿動脈から送血カニューレを挿入した9例では、下肢送血も併用し下肢虚血の合併症は見られなかった。当院ではACTの目標値は180-200秒を基本としナファモスタットやヘパリンを用いて抗凝固管理を行っているが、ECMO管理に起因する致死的な出血や塞栓症は認めなかった。ECMO管理中に左心系の減圧のため1例に左房ベント挿入、1例に経カテーテル的心房中隔作成術を行った。12例(70%)が生存退院し、生存例ではECMO期間の中央値は9.5日(5 - 17日)であった。4例で不可逆的な心筋障害をきたしたが、心臓移植の方針となった症例はいなかった。ECPRとなった4例のうち生存例は1例のみであった。
【結論】当院では既報に比してinotropic scoreが比較的低値でECMO導入としており、ECMO導入までに蘇生となった症例は認めなかった。既報の通りECPRとなった症例の予後は不良であり、蘇生事象となる前の導入が望まれる。左心系の減圧は効果的であったが、適応・方法について症例を蓄積する必要がある。また、ECMO離脱不能症例に対しての戦略の構築も喫緊の課題と考える。
【方法】2010年3月から2018年12月の間に当院PICUに入室しVA-ECMO管理を要した心筋炎患者を対象とした。診療録から症例の治療経過と転帰について情報を抽出し後方視的検討を行った。
【成績】対象は17症例であった。年齢は中央値6歳7ヶ月(0 - 11歳6ヶ月)、体重は中央値18.4kg (3.0 - 48.0kg)、男女比は10:7であった。ECMO導入理由はECPR 4例、低心拍出状態5例、不整脈8例であった。低心拍出状態でECMO導入となった症例のinotropic score最大値は16であった。経皮的カニュレーションを第1選択としているが、2例(12%)が開胸下ECMOであった。大腿動脈から送血カニューレを挿入した9例では、下肢送血も併用し下肢虚血の合併症は見られなかった。当院ではACTの目標値は180-200秒を基本としナファモスタットやヘパリンを用いて抗凝固管理を行っているが、ECMO管理に起因する致死的な出血や塞栓症は認めなかった。ECMO管理中に左心系の減圧のため1例に左房ベント挿入、1例に経カテーテル的心房中隔作成術を行った。12例(70%)が生存退院し、生存例ではECMO期間の中央値は9.5日(5 - 17日)であった。4例で不可逆的な心筋障害をきたしたが、心臓移植の方針となった症例はいなかった。ECPRとなった4例のうち生存例は1例のみであった。
【結論】当院では既報に比してinotropic scoreが比較的低値でECMO導入としており、ECMO導入までに蘇生となった症例は認めなかった。既報の通りECPRとなった症例の予後は不良であり、蘇生事象となる前の導入が望まれる。左心系の減圧は効果的であったが、適応・方法について症例を蓄積する必要がある。また、ECMO離脱不能症例に対しての戦略の構築も喫緊の課題と考える。