[I-P01-03] 主要体肺側副動脈(MAPCA)に合併する気管・気管支軟化症の臨床像
Keywords:気管・気管支軟化症, MAPCA, 気管支鏡
【背景】主要体肺側副動脈(MAPCA)は肺血管統合術(unifocalization:UF)を必要とする。当院では生後6ヶ月を目処にUFを行い、その後の良好な肺循環を目指している。しかし、気管・気管支軟化症を合併し、術後呼吸管理に難渋する症例が多い。近年、UF術前精査としての気管支鏡検査を必須としているものの、その臨床像は明らかではない。【目的】MAPCAに合併する気管・気管支軟化症の臨床像を明らかにする。【方法】当院において二心室治療を行ったMAPCA症例を抽出した。術前後に行った気管支鏡検査における気管・気管支軟化症所見の有無で2群に分けて、術後挿管期間などを後方視的に比較検討した。単心室症例や術前に気管切開をした症例、他院にてUFを施行した症例は除外した。【結果・考察】2015-2018年の4年間でMAPCAのUFを22例で実施した。その中で乳児期(1歳未満)にUFを行った症例は12例であった。気管支鏡検査での気管・気管支軟化症あり群(M群)は7/12例(58%)、気管・気管支軟化症なし群(C群)は5/12例(42%)。22q11.2欠失症候群はM群で4/7例(57%)、C群で2/5例(40%)。UF時の月齢(中央値)はM群:4ヶ月(1-5ヶ月)、C群:6ヶ月(4-7ヶ月)であった。術後挿管期間の平均日数はM群:21.8日(9-48日)、C群:7日(6-8日)でM群で有意に長期化していた(p<0.05)。術前にdying spellを生じていたのはM群で4例いたが、C群ではいなかった。M群の中の1例は抜管に至らず、気管切開を行った。UF術前から気管・気管支軟化症を指摘されていた症例は、UF時の気管周囲の剥離により、軟化症初見が術前より悪化することが多かった。【結語】MAPCA症例には気管・気管支軟化症を合併しやすく、UF時の剥離操作などで軟化症状が一段悪化する。それにより術後の呼吸器管理が長期化し、気管切開を要することもあるため、UF前の気管支鏡検査は欠かせない。