[I-P01-05] 当院における先天性食道閉鎖症を合併した機能的単心室症例の検討
Keywords:単心室, 食道閉鎖, VACTER連合
【緒言】先天性食道閉鎖症(Esophageal Atresia:以下、EA)には、心奇形の合併が多いことは知られており、低出生体重や合併奇形の有無、染色体異常などが予後を左右する因子として知られている。このうち、EA合併の単心室症例の報告は少ない。【方法】1995年1月~2019年1月までの24年間で当院において治療したEA症例のうち、手術介入を行った先天性心疾患を合併した症例(18トリソミー除外)に関して機能的単心室症例(SV群)と二心室修復症例(BV群)での転帰やそれを左右するリスク因子に関して後方視的に検討した。【結果】当院で治療したEA69例のうち、先天性心疾患合併は26例(38%)。内訳はSV群5例、BV群21例。EAへの初回手術介入までの日数は入院後平均0.7日で、いずれも心疾患より先にEAへの手術介入を行っていた。EAに対する初回手術の内訳は一期根治14例、TEF切離+胃瘻造設3例、食道絞扼術+胃瘻造設3例、胃瘻造設のみが6例だった。転帰はSV群が5例中2例、BV群が22例中2例で死亡した。死亡例は生存例と比して、低出生体重(死亡群1431g/生存群2325g)・早産(死亡群35週1日/生存群37週4日)でいずれもチアノーゼ性心疾患だった。SV群のうちGlenn手術到達は1例、Fontan手術到達は1例、BV群では死亡した2例を除き19例全てが根治できた。食道・心臓以外の合併奇形は26例中23例(88%)に認め、VACTER(L)連合も7例(27%)含まれた。合併奇形と死亡症例との間に有意差はなかった。【考察】 EA合併の単心室症ではFontan trackにおける肺保護の観点からもEAへの早期手術介入が望ましい。当院では早期の食道閉鎖根治術を目指し、出生直後から積極的に治療介入することで、単心室症例でも比較的良好な生命予後が得られていた。