[I-P03-03] 先天性心疾患児に対する非侵襲的心拍出量モニターを用いた心拍出量測定の有用性についての検討
Keywords:非侵襲的心拍出量モニター, 心拍出量, 先天性心疾患
【背景】電気的心臓計測法(Electrical Cardiometory:EC法)に基づく非侵襲的心拍出量モニターは電極の貼付のみで心拍出量を非侵襲的かつ持続的に測定できる。非心疾患児において本計測法は熱希釈法やドプラ超音波法との良好な相関が報告されているが、先天性心疾患児における有用性の報告は少ない。【目的】先天性心疾患児に対するEC法を用いた心拍出量測定の有用性を評価する。【対象・方法】当院で心臓カテーテル検査を行った患児のうち本研究への参加の同意を取得できた児を対象とし、前方視的に検討した。全身麻酔下にEC法による心係数(EC-CI)、および経胸壁ドプラ超音波法による心係数(Echo-CI)を測定した。その後心臓カテーテル検査を実施しFick法により体血流量(Fick-Qs)を計測し、各測定値に関して検討を行った。【結果】28症例(0歳3ヶ月~8歳5ヶ月、中央値1歳5ヶ月、男児17例)を対象に検討した。二心室修復術後が8例、心内左右シャント疾患が13例(うち肺動脈絞扼術後2例)、肺動脈狭窄が1例、BTシャント増設術後が3例(うち二心室症例2例)、Glenn術後が2例、TCPC術後が1例であった。EC-CIとFick-Qsは相関係数r=0.479(p=0.01)で有意に相関があった。二つの方法(EC-CI - Fick Qs)の平均誤差±2SDは-0.015L/min/m2±1.38L/min/m2でやや幅があった。比例誤差はなかった。Echo-CIは特にBTシャント症例や大動脈弁拡大症例での誤差が大きく、他の測定値との有意な相関はなかった。【結語】EC法を用いた非侵襲的心拍出量モニターはFick法で得られる体血流量と相関しており、先天性心疾患児においても循環評価に有用なツールである可能性がある。ただし、誤差が大きい症例がある点に注意を要する。