第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理

ポスターセッション3(I-P03)
集中治療・周術期管理 3

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:上田 秀明(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

[I-P03-05] 先天性心疾患術後Renal rSO2 の有用性についての検討

岩崎 美佳, 枡岡 歩, 細田 隆介, 永瀬 晴啓, 保土田 健太郎, 鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

キーワード:NIRS, rSO2, 腰背部

【背景】近赤外分光法は心拍出量の推定に用いられることが多く、当院では先天性心疾患術後に前額部(rSO2C)と腰背部(rSO2R)の2箇所でrSO2測定を行い循環管理を行っている。rSO2Cは呼吸や覚醒などに影響を受け血行動態の変化がなくても容易に変動することが多く、rSO2Cの変動の解釈に難渋することがある。【目的】rSO2c に代わる血行動態変化の指標としてrSO2Rが参考になる可能性について、心臓術後に血行動態に変化が認められた症例におけるrSO2CとrSO2Rの関係を検討。【対象・方法】2017年から2018年に心内修復術後を施行した患児のうち血行動態に変化が認められた7症例を対象。rSO2CとrSO2Rの測定を行いICU入室時と治療介入前後の血行動態変化に伴うrSO2の変動を後方視的に収集。【結果】疾患は、ASO 1例・VSD閉鎖術 3例・AVSD 2例・総動脈幹症再弁置換術 1例。手術時日齢は中央値 127日(19-1517日)。体重は中央値 3.3kg(2.0-10.5)、男児4例女児3例。rSO2変動時に見られた血行動態悪化の原因は、胸水貯留3例・腹水貯留1例・肺高血圧1例・不整脈1例・気胸1例であった。これらのイベントによる血行動態変化に対する治療介入前後でのrSO2 変化率はrSO2C:104.2%(77.9%-118.3%)、rSO2R:113.8%(100%-173.1%)(p=0.068)であった。【考察】先天性心疾患術後に、特にイベントがない症例では、rSO2RがrSO2Cより高値を示すが、血行動態の変動時にはrSO2RがrSO2Cより大きく変動していた。このことは、rSO2Rが循環動態の変化に鋭敏に反応することを示しており、イベント発生時において治療介入の是非を決定する指標となり得る可能性が示唆された。【結語】rSO2Rの測定は、鋭敏な循環動態の指標となる可能性があり、今後さらなる検討を行っていく必要がある。