[I-P04-02] 当施設における13および18トリソミー患児の心臓血管手術周術期管理の検討
キーワード:13トリソミー, 18トリソミー, 全身麻酔
【背景】近年、13および18トリソミーの児において、心臓手術を行った症例が非手術例に比べて生存期間が長いことや、生活の質改善のためには姑息術のみでなく心内修復術も有効であることが報告されている。しかし、手術症例増加の一方で全身麻酔に関する報告は非常に稀であるため、当施設での麻酔・集中治療管理を検討した。【方法】当施設で過去10年間に先天性心疾患に対して手術介入を行った13および18トリソミー患児を後方視的に検討した。【結果】2009年から2018年までに当施設で行われた心臓手術は13トリソミー4例、18トリソミー10例であった。多くは肺動脈絞扼術や体肺動脈短絡術といった姑息術、あるいは動脈管結紮術であったが、心内修復術を行った症例が2例あった。Macintosh型喉頭鏡で喉頭展開が困難な症例は2例存在したが、1例はMiller型で、もう1例はビデオ喉頭鏡で挿管可能であった。術前に人工呼吸を行なっていなかった症例はいずれも術後人工呼吸器からの離脱が可能であった。周術期死亡症例はなく、自宅退院出来た症例が6例であった。【考察】13および18トリソミーは解剖学的特徴から挿管困難のリスクがあることが知られており、人工呼吸の際には注意が必要である。呼吸機能低下も重要な合併症の一つであり、人工呼吸器からの離脱が困難になることが懸念されているが、今回の検討では、手術を契機に長期人工呼吸管理となった症例は存在しなかった。術中体位確保やライン確保など、手技的問題はいくつか存在したが、いずれも致命的となるような合併症を起こすことなく周術期管理を行うことが出来た。【結論】気道確保をはじめ手技的に困難である点は存在するが、疾患の特殊性を理解した上で先天性心疾患をもつ13トリソミー、18トリソミー患児の周術期管理を行うことは可能であると考える。手術手技だけでなく、周術期管理の観点からも今後更なる症例の蓄積・検討が必要になると考える。