[I-P04-05] 心臓手術後にICU-acquired weaknessを呈したKabuki症候群の1例
キーワード:気管切開, リハビリ, 肺静脈狭窄
【背景】ICU-acquired weakness(ICU-AW)は廃用症候群とは異なり、ICU管理中に発症する左右対称性四肢筋力低下を特徴とし、急性多発ニューロパチー・ミオパチーが原因とされる。術後敗血症、ステロイド薬・筋弛緩薬使用、長期人工呼吸器装着などがリスク因子となり、後遺障害が残存するため早期介入の重要性が提唱されている。
【症例】Kabuki症候群の10歳女児。出生後チアノーゼから大動脈弓離断複合B型、両大血管右室起始症と診断され、1か月時に大動脈弓グラフト再建、肺動脈絞扼術を実施。経年的肺静脈狭窄進行と心内膜線維化(EFE)による心機能低下のため、二心室修復・右心バイパス型手術いずれも適応外と考えられた。9歳頃から相対的なグラフト狭窄のため血圧上下肢差が顕在化し、肺静脈狭窄によるチアノーゼが進行し日常生活に支障をきたした。左前大脳動脈および両側後交通動脈の低形成を指摘されたため、Extra-anatomical bypass手術を選択し、同時に両側肺静脈狭窄解除、肺動脈再絞扼を実施した。術後循環不全や敗血症性ショックのため長期の集中治療を要した。また四肢・呼吸筋力が著しく低下し抜管困難なため、術後3か月時に気管切開を行った。以後積極的にリハビリテーションを行ったが寝たきりの状態が続いた。嚥下機能の改善も乏しく、誤嚥性肺炎をはじめ腸炎・尿路感染などを反復し、術後1年以上が経過した現在も人工呼吸器管理を余儀なくされ、自宅退院困難な状況である。
【考察】基礎疾患としてKabuki症候群を有し、さらにEFEによる心機能低下を伴っていた上に多くのリスク因子が併存していた。ICU-AWは理学療法士、栄養士など多職種による早期介入が必要なため、小児心疾患周術期においても周知されるべき病態である。
【症例】Kabuki症候群の10歳女児。出生後チアノーゼから大動脈弓離断複合B型、両大血管右室起始症と診断され、1か月時に大動脈弓グラフト再建、肺動脈絞扼術を実施。経年的肺静脈狭窄進行と心内膜線維化(EFE)による心機能低下のため、二心室修復・右心バイパス型手術いずれも適応外と考えられた。9歳頃から相対的なグラフト狭窄のため血圧上下肢差が顕在化し、肺静脈狭窄によるチアノーゼが進行し日常生活に支障をきたした。左前大脳動脈および両側後交通動脈の低形成を指摘されたため、Extra-anatomical bypass手術を選択し、同時に両側肺静脈狭窄解除、肺動脈再絞扼を実施した。術後循環不全や敗血症性ショックのため長期の集中治療を要した。また四肢・呼吸筋力が著しく低下し抜管困難なため、術後3か月時に気管切開を行った。以後積極的にリハビリテーションを行ったが寝たきりの状態が続いた。嚥下機能の改善も乏しく、誤嚥性肺炎をはじめ腸炎・尿路感染などを反復し、術後1年以上が経過した現在も人工呼吸器管理を余儀なくされ、自宅退院困難な状況である。
【考察】基礎疾患としてKabuki症候群を有し、さらにEFEによる心機能低下を伴っていた上に多くのリスク因子が併存していた。ICU-AWは理学療法士、栄養士など多職種による早期介入が必要なため、小児心疾患周術期においても周知されるべき病態である。