[I-P05-02] カテーテル検査結果からみるFontan術後中期成績
Keywords:Fontan手術, 術後, 予後
【背景】当院ではFontan術後の評価として、術後1年、以後は約5年毎を目安に行っている。Fontan術後2回目のカテーテル検査でFontan圧の上昇などを認める症例を経験する。【目的】術後中期のカテーテル検査でFontan圧の上昇などを認める症例で、その心臓形態や手術歴、合併症の有無、それまでのカテーテル検査データ、Fontan手術時の状態を診療録より後方視的に検討し、その因子を見出すこと【対象と方法】2007年~2011年にFontan手術を施行した患者のうち術後2回目の評価カテーテル検査を終了した45例。そのうち不良群(B群)12例と良好群(G群)33例にわけて検討。不良群は2回目のFontan圧>15mmHg、Fontan圧が1回目より△5mmHg上昇、EDP>12mmHgを抽出。術後中期の評価カテはFontan手術時より66~126カ月(中央値95カ月)で施行。【結果】1心臓形態;主心室はB群RV7/12例。G群RV7/33例(p=0.029)。2初回手術が肺動脈絞扼術;B群で8/12例、G群で7/33例(p=0.01)。3腹部疾患や気管の合併症の有無では有意差なし。4カテーテル検査データではFontan前、Fontan1年後のPAI, 左右PA, EDP, EF, EDV, ESVに有意差はなし。またCTR, hANP, BNPも有意差はなし。Fontan前の房室弁逆流が重度;B群4/12例、G群2/33例(p=0.03)。5Fontan手術時のドレーン日数、入院期間はいずれもB群で有意に長かった(ドレーンB群7~73日(中央値27.5日) vs G群5~36日(中央値13日)(p<0.01), 入院日数B群30~90日(中央値47.5日) vs G群22~67日(中央値36日)(p=0.01)。【結論】Fontan術後遠隔期にB群に入る因子として、それまでのカテーテル検査結果から見出すことはできなかった。しかし、B群では肺動脈絞扼術を経る右室系単心室/Norwoodタイプの心形態、重度房室弁逆流、Fontan手術時のドレーン留置期間や入院期間が長い症例であった。これらの因子がある場合は弁の治療介入、内服薬の強化などの対応が必要である。