[I-P05-04] Fontan術後低身長で、低栄養性の懸念から成長ホルモン投与に議論のあった10歳男子
キーワード:低身長, 成長ホルモン, Fontan
【背景】フォンタン手術後に低身長(身長SD < 2.5)を来す児は多い。しかし、複雑心奇形では、胎児期の循環、生後の呼吸・循環・チアノーゼ、治療侵襲および治療に伴う栄養不足など、成長ホルモン分泌不全(GHD)以外にも、低身長の複雑な要因が存在し得る。我々はGHDの診断基準を満たす10歳男子で、低栄養性低身長の懸念からGH投与に議論のあった一例を報告し、議論を得たい。
【症例】10歳男子。左室型単心室、大動脈縮窄で、段階的に2歳7か月時にフォンタン手術を終えた。その後、3歳9か月時にDKS吻合上部の狭窄解除術を施行した。その後全身状態は良好に経過したが、同時期より身長増加が鈍化し、10歳時に、体重-2.5SD、身長-2.5SDであった。社会的問題はなく、発達は良好(7歳時全IQ 94)に経過している。体格のバランスから、食事は可能な限り摂取しているものの、低栄養に伴う低身長が疑われ、治療を要するGHDは可能性が低いと考察された。しかし、ソマトメジンCは21ng/mLと低く、本人・家族の希望によりGH負荷試験を行った。アルギニン負荷頂値3.76ng/mL、ドバストン負荷頂値1.67ng/mLと明らかな低値であり、GHDによる低身長と診断した。現在までGH投与後4か月で4cmの良好な身長増加が得られ、副作用は認めていない。
【結論】本症例のように低栄養性の要素が無視できない症例では、GHD診断基準を満たす場合にも、GH治療適応判断は個別かつ慎重に行う必要がある。身長増加が得られたとしても、痩せが進まないかを含め、GH治療の功罪を念頭においた慎重なフォローが重要と考えられる。
【症例】10歳男子。左室型単心室、大動脈縮窄で、段階的に2歳7か月時にフォンタン手術を終えた。その後、3歳9か月時にDKS吻合上部の狭窄解除術を施行した。その後全身状態は良好に経過したが、同時期より身長増加が鈍化し、10歳時に、体重-2.5SD、身長-2.5SDであった。社会的問題はなく、発達は良好(7歳時全IQ 94)に経過している。体格のバランスから、食事は可能な限り摂取しているものの、低栄養に伴う低身長が疑われ、治療を要するGHDは可能性が低いと考察された。しかし、ソマトメジンCは21ng/mLと低く、本人・家族の希望によりGH負荷試験を行った。アルギニン負荷頂値3.76ng/mL、ドバストン負荷頂値1.67ng/mLと明らかな低値であり、GHDによる低身長と診断した。現在までGH投与後4か月で4cmの良好な身長増加が得られ、副作用は認めていない。
【結論】本症例のように低栄養性の要素が無視できない症例では、GHD診断基準を満たす場合にも、GH治療適応判断は個別かつ慎重に行う必要がある。身長増加が得られたとしても、痩せが進まないかを含め、GH治療の功罪を念頭においた慎重なフォローが重要と考えられる。