[I-P05-05] フォンタン循環の頭囲成長は何を意味するか?
キーワード:フォンタン, 頭囲, 成長
【背景】フォンタン循環の頭囲成長に関する報告は少ない。高い静脈圧は頭囲拡大を来たす可能性がある。【目的】フォンタン循環の頭囲に影響する因子を明らかにする。【対象】1985年から2018年の単心室循環症例で頭囲を確認した149例【方法】1、出生時(B)、グレン術前(preG)、フォンタン術前(preF)、フォンタン術後(postF)の頭囲(HC)SD値を比較した。2、グレン前SD変化率(preG ratio)、フォンタン前SD変化率(preF ratio)と出生時、グレン前、フォンタン前のカテーテル時検査所見を単変量、多変量解析で評価した。【結果】1、SD値はB-0.173±0.094(mean±SE)、preG-1.45±0.157、preF-0.332±0.193、postF-0.189±0.134とpreGで有意に低下、preFで有意に上昇していた(p<0.01)。2、単変量解析ではpreG ratioはRA圧(preG)、大動脈収縮期圧(preG)、大動脈拡張期(preG)、大動脈平均圧(preG)、LPA径(preG)と正の相関、HLHSと負の相関を示した。preF ratioはグレン月齢と正、RA圧(preG)、大動脈収縮期圧(preG)、大動脈拡張期圧(preG)、大動脈平均圧(preG)、LPA径(preG)、RPA径(preG)、PAI(preG)およびpreG ratioと負の相関を示し、preFのカテーテル検査とは相関しなかった。 多変量解析ではpreG ratioはHLHSと負の、RA圧(preG)と正の相関を示し(p<0.01)、preF ratioはpreG ratioとのみ負の相関を示した(p<0.01)。【考察】フォンタン循環ではグレン前に頭囲成長が著しく低下し、フォンタン前に上昇する。グレン前の頭囲成長障害はHLHSに強く、RA圧とは逆相関する。これは厳密な水分制限が要因と考えられ、心不全により頭囲成長が障害されると考えられる。またグレン手術後の増加は、グレン前頭囲減少と逆相関し、肺動脈圧とは相関がないことより、肺動脈圧の上昇に起因せず、心不全の改善が要因と思われた。【まとめ】フォンタン循環の頭囲測定は、心不全評価に有用である。