[I-P07-02] transannular patch repairを施行された小児ファロー四徴症患者の早期再手術に関与する因子の検討
キーワード:TOF, transannular patch, re-RVOTR
【背景・目的】ファロー四徴症でtransannular patch repair(TAP)を施行された患者では、術後遠隔期に肺動脈弁逆流による再手術が問題となる事が多いが、一定数で術後早期に再手術が必要となる症例がある。早期再手術の関与因子について検討した。【対象・方法】2003年1月生まれ以降で2003年から2018年にTAPによる心内修復術を施行された小児ファロー四徴症患者100例(年齢0-15歳)が対象。観察期間は0.9-14年(中央値8.3年)。心内修復術後に再手術を施行された例が10例、施行されていない例が90例。再手術の関与因子について診療録から後方視的に検討した。【結果】再手術は全例が右室流出路再建術を施行されており、適応は肺動脈狭窄によるものが3例、肺動脈弁逆流によるものが7例であった。心内修復術後、再手術までの期間は1-11年(中央値5年)であった。両群間で有意差を示したのは2因子あり、再手術に有意に関与した因子は、心内修復術退院時の肺動脈狭窄が軽度であること(MPA velocity<2.0m/s, p=0.033)、心内修復術前の肺動脈弁口面積係数が小さいこと(PVAI<1.0cm2/m2, p=0.002)であった。更に肺動脈弁逆流の適応で再手術となった7例のみで検討を行うと、上記2因子に加えて、心内修復術施行時の年齢が低い事が早期再手術に関与している傾向があった(心内修復時年齢 1歳未満,p=0.064)。退院時の肺動脈弁逆流の程度、シャント手術既往の有無、染色体異常の有無などでは両群間で有意差は認めなかった。【考察・結論】今回の検討で、肺動脈狭窄が軽度であることが早期再手術に関与する結果となった。適度な肺動脈狭窄がある方が、肺動脈弁逆流による右室拡大が起こりにくく早期の再手術を回避できていると推察する。TAPの際にはある程度の肺動脈狭窄を残しておいた方が、術後早期の再手術を回避できる可能性がある。また、小さな肺動脈弁や乳児期の心内修復術が早期再手術の危険因子となっている可能性が示唆された。