[I-P07-03] ファロー四徴症患者の弁輪温存手術の背景と転帰
Keywords:ファロー四徴症, 弁輪温存, Trans anular patch
【背景】ファロー四徴症(TOF)患者の心内修復術(ICR)後には、肺動脈弁狭窄(PS)や肺動脈弁逆流(PR)が問題となる。当院では、TOF患者のICRでは、できる限り弁輪温存手術を選択するようにしている。【目的】当科で弁輪温存手術が施行されたTOF患者の背景と転帰を後方視的に検討する。【方法】2003年1月~2018年2月に出生し当科に入院したTOF患者を対象とし、肺動脈閉鎖及び肺動脈弁欠損例は除外した。そのうち肺動脈弁輪温存手術が施行された184人を弁輪温存群、Trans anular patch(TAP)が施行された105人を対照群(TAP群)として術前・術後の臨床的特徴を比較した。【結果】βブロッカー内服の既往は弁輪温存群で少なかった(52% vs. 73%: p<0.0001)が、Spellの既往は両群で差がなかった(21% vs. 18%)。Shunt手術は弁輪温存群でも多く行われていたが、その頻度はTAP群に比べると少なかった(22% vs. 47%: p<0.0001)。術前心エコー検査での肺動脈弁輪径は、弁輪温存群が中央値81% of normal、TAP群が66% of normalと弁輪温存群の方が大きかった(p<0.0001)。退院時の心エコー検査ではPS の流速に両群間で差は認めなかった(中央値:2.2 m/s vs. 2.3m/s)が、PRに関しては、mild以上の頻度が弁輪温存群の方が少なかった(50% vs. 82%: p<0.0001)。また、ICR後、PSに対するPTA施行例、reRVOTR症例も弁輪温存群で少なかったく(PTA:6% vs. 15%: p=0.02)、(reRVOTR:0% vs. 4.8%: p=0.006)。【まとめ】TOF ICR後の早期の予後について調査を行なった。退院時、PSの流速は弁輪温存群、TAP群間で差を認めなかったが、ICR後のPSに対するPTAとreRVOTRの頻度は弁輪温存群で有意に少なかった。TOFに対する肺動脈弁輪温存術は、できる限り選択したい術式と考えられた。