第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション7(I-P07)
術後遠隔期・合併症・発達 3

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:小島 拓朗(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

[I-P07-04] 成人ファロー四徴術後患者における右室流出路再建術後の肝機能の変化

堀 真一郎, 浜道 裕二, 額賀 俊介, 小林 匠, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院)

キーワード:ファロー四徴症, 右室流出路再建術, 肝機能障害

【背景と目的】成人ファロー四徴術後(TOFpo)患者で、右室流出路再建術(reR)前に肝機能障害を来している例がある。reR後に肝機能が改善することが期待される。今回、成人TOFpo患者のreR後の肝機能の変化を調べた。【方法】対象は20才以上で2004年~2016年にreR前後で血液検査が施行された成人TOFpo患者52人(reR群)。日常検査で得られる肝機能検査値 (GGT, T-bil, Plt, ALT, AST, Alb, FIB-4)をreR前(1回目採血)とreR後(2回目採血)で比較した。対照としてreRを施行していない成人TOFpo患者(non-reR群32人)においても肝機能の変化を比較した。【結果】reR群とnon-reR群で、1回目の採血時の年齢(36 vs. 39 才)、1回目から2回目の採血までの期間(26vs.26 ヵ月)には有意差がなかった。1回目採血では、reR群がnon-reR群に比べてGGTが高値であった(69 vs. 35 IU: p=0.0067)が、その他の肝機能検査値は両群間で有意差がなかった。1回目採血と2回目採血でreR群の肝機能検査値の変化をみると、reR後にはGGT値は有意に低下し(68 vs. 43 IU, p=0.017)、T-bil(1.0 vs. 0.75 mg/dl, p=0.092)に低下傾向があった。その他の肝機能値には有意差がなかった。non-reR群では1回目と2回目の採血で、上記7つの肝機能値に有意な変化はなかった。reR群と対照R群で 2回目の採血dataを比べると、reR群がNon-reR群に比べFIB-4値が低く(1.29 vs. 1.67, p=0.047)、T-bil値が低い傾向(0.75 vs. 0.93, p=0.065)にあった。【まとめ】今回、成人TOFpo患者でreRにより肝鬱血を示すGGT値は低下し、T-bil値は低下傾向を認めることを示した。この変化は対照群のフォローでは認めなかった。reRにより肝鬱血を改善すると考える。フォロー採血ではnon-reR群がreR群より肝線維化マーカー値FIB-4が高くなってきていた。reRは肝繊維化を改善することはできなくとも、肝鬱血を改善することにより肝繊維化の進行を遅らせている可能性がある。