[I-P07-05] ファロー四徴修復術後の生体弁を用いた肺動脈弁置換に関する検討
Keywords:肺動脈弁置換, ファロー四徴, 弁逆流
【背景】我々はファロー四徴(TF)修復術(ICR)後の右室流出路狭窄(PS)、肺動脈弁逆流(PR)に対する肺動脈弁置換(PVR)において生体弁を使用している。【目的】生体弁による肺動脈弁置換(PVR)の成績を検討すること。【対象】TFに対する生体弁PVR 25例の内、ICR後のPVRは22例であり、そのうち導管型の4例を除いた18例を対象とした。男:女=8:9、ICR時の年齢は平均7(1-29)歳で、PVR時の年齢は平均36(10-61)歳、ICRからPVRまでの期間は平均30(10-50)年であった。PVR後の経過観察期間は平均5.6(1.1-11.2)年。使用生体弁は2006-2008年にブタ大動脈弁(4)、2009年以降はウシ心嚢膜弁(14)を選択した。サイズは23mm:3、25mm:12、27mm:3。同時手術としてBentall手術:1、上行大動脈置換:1、僧帽弁形成:3、僧帽弁置換:1、アブレーション:6、心臓再同期療法:1であった。主な手術適応はPR:12、PS: 5、IE :1であった。PRは有症状、不整脈の出現、RVEDVI≧150ml/m2のいずれかがあることを適応の基準とした。【結果】手術死亡なし。遠隔死亡はRVEF47.8%、LVEF42.9%の両心不全例をPVR後3年に失った。再手術は2例。肺動脈弁のIEによる5年後の再PVRと、小児期PVR(10歳)術後6年に弁の石灰化が進み一弁付きパッチによる右室流出路再建を行った。トレッドミル検査では、平均peak VO2(術前→術後)23.8→24.0ml/min/kg(69→83%N)と改善を認めた。PR例のPVR前後ではRVEDVIが162.2→92.2ml/m2(p<0.05)、BNPは112→61.1pg/ml(p=0.16)と改善傾向を認めた。LVEFは58.5→56.7%、RVEFは48.2→48.0%と変化なし。小児再手術例を除いてPS進行を認める症例はなかった。【結語】生体弁PVRは右室容量負荷の軽減に寄与するが、心機能改善はいまのところ認めていない。小児では早期の劣化が認められることがあり、生体弁の使用は避ける必要があるかもしれない。全体の手術成績は満足のいくものであり、心機能保持の観点から生体弁PVRは有用な手段であると考えられた。