[I-P08-02] 動脈管形態が肺動脈形態および肺動脈形成術の必要性に及ぼす影響
キーワード:動脈管, 肺動脈狭窄, 肺動脈形成術
【背景】動脈管は第6咽頭弓動脈から発生し、左大動脈弓では左鎖骨下動脈よりやや遠位から起始し左肺動脈に接続する。しかし肺動脈閉鎖の症例では大動脈弓の頂点近傍の小弯側から起始する形態の動脈管がみられることが多い。また、肺動脈閉鎖の症例では動脈管が接合する肺動脈の起始部狭窄や低形成のため形成手術が必要な症例がしばしばみられる。【目的】動脈管の形態と肺動脈形態および肺動脈形成術の必要性との関連を検討すること。【方法】2010年1月~2018年12月に当院で入院加療を行った、肺動脈閉鎖(PA)・肺動脈狭窄(PS)症例のうち、初回手術から当院で実施し、動脈管形態が確認できた60例(PA36例、PS 24例)を対象とした。動脈管の形態については、左大動脈弓で大動脈弓下面と動脈管が鋭角(acute angle)を成す通常形態をA型、鈍角(obtuse angle)を成す形態をO型、右大動脈弓で左鎖骨下動脈あるいは腕頭動脈より起始する形態をL型と定義し、上記60例について動脈管形態・主肺動脈(MPA)の有無と肺動脈形態および形成術の要否との関連について後方視的に検討した。なお体肺短絡術後などの吻合部狭窄に対する形成術は除外した。【結果】A型 12例(PA 3例、PS 9例)、O型 42例(PA 30例、PS 12例)、L型7例(PA 3例、PS 4例)。形成術を行った症例数はA型 0例に対しO型 23例(PA16例、PS 7例)、L型 3例(PA 2例、PS 1例)と有意に多かった(O型・L型 vs A型 いずれもp<0.05)。またMPAあり42例中15例、MPAなし18例中11例で形成術を行ったが有意差はなかった。なお形成術と同時に行った手術は体肺短絡術23例、右室流出路形成術2例、Glenn術1例だった。【考察】順行性肺血流や主肺動脈の有無にかかわらず動脈管形態がO型・L型の場合は肺動脈形成手術が必要となることが多く、早期から介入することは肺血管床の左右差を是正し、特に単心室循環において長期的な予後改善に寄与すると考える。