[I-P08-04] 女性ホルモン療法施行中に深部静脈血栓症を発症した先天性心疾患2症例
Keywords:先天性心疾患, 女性ホルモン, 深部静脈血栓
【はじめに】重症心疾患患児は月経が不規則であったり、無月経の率が高いと報告されている。一方女性ホルモン療法は血栓症のリスクがある。当院で女性ホルモン補充療法施行中に深部静脈血栓症を発症した2例を報告する。【症例1】症例は22歳、女性。Ebstein奇形に対して、5歳時にFontan術を施行。6歳時PLE発症。19歳時に原発性無月経の診断で、女性ホルモン補充療法開始。重度の骨粗鬆症あり。22歳時、左頸部・腋窩・前腕に疼痛、左上肢の腫脹出現。造影CTで無名静脈から左内頚静脈・鎖骨下静脈に血栓認め、緊急で経カテーテル的血栓溶解・吸引術を施行した。ホルモン剤は内服中止。7日間のヘパリン・ウロキナーゼ持続投与を行い、術後4日目よりワーファリンの内服を開始した。【症例2】33週1021g出生。脳性麻痺、てんかんあり。肥大型心筋症で3歳時より当院フォロー。21歳10か月時、月経前緊張症で誤嚥性肺炎繰り返すとのことで女性ホルモン補充療法開始。22歳9か月左足浮腫増強し来院。左大腿静脈から膝下静脈に血栓を認めた。左総腸骨静脈は以前から閉塞していたことが判明。ホルモン剤中止。ヘパリン持続点滴、リクシアナ内服を開始した。【考察】症例1ではFailing Fontanの循環、症例2では左総腸骨静脈の閉塞と脳性麻痺がリスク因子であった。当院での14歳以上のフォンタン女性の検査では36%が原発性無月経、続発性無月経であった。一方女性ホルモン剤は血栓症のリスクがある。重症心疾患患児も生殖年齢まで到達できる時代になっており、今後さらに各科連携した治療介入が必要となる。