[I-P08-05] 抗生剤予防投与が敗血症予防に有効と考えられた多脾症例~多脾症は機能的無脾状態を表す~
キーワード:Heterotaxy, 脾機能, 慢性心不全
【緒言】Heterotaxyは複合心奇形や幅広い心外病変を伴う症候群である。無脾症が致死的細菌感染症を合併することはよく知られているが、多脾症の免疫異常について言及した報告は稀である。
【症例】18歳男性。心大血管形態は右室型単心室、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、動脈管開存、主要体肺動脈短絡、下大静脈欠損。心房位は右側相同、胸部臓器位は逆位、腹部臓器位は左側相同で、脾臓を右側に複数個認めた。
手術適応外と判断され未手術のまま経過観察されていたが、三尖弁閉鎖不全と大動脈閉鎖不全による両心不全およびチアノーゼが著明なため、心負荷軽減目的に16歳時にBentall+三尖弁置換術が行われた。慢性心不全のためβblocker、ACE inhibitorの内服治療が開始された。その後、発熱エピソードを反復。抗生剤投与は有効だが抗生剤を中止すると間もなく再発熱し、毎月入院加療を要した。培養から有意菌は検出されなかったが経過から細菌感染症と判断した。感染症罹患時には心室頻拍、心室細動を繰り返した。抗不整脈薬内服でのコントロールが困難なため、ペースメーカーと皮下植え込み型除細動器(s-ICD)が植え込まれた。ICD植え込み後にB群連鎖球菌感染による敗血症を起こしICDが作動した。末梢血塗抹検査でHowell-Jolly小体陰性、99mTc-スズコロイドによる脾臓シンチグラフィ陽性(脾臓を複数個確認)、脾体積164cm3と、脾臓の存在は確認されたが脾機能が低下していると考え、急性期抗生剤治療終了後、無脾症に準じてアモキシシリン予防内服を開始し退院した。その後は感染による病院受診はなく、ICDも作動せず、心不全の急性増悪もない。
【考察】多脾症は機能的無脾状態になりうるとされる。また心不全時には脾臓体積が増加するという報告があり、脾うっ血による脾機能低下も示唆される。敗血症既往があり慢性心不全の多脾症患者は、致死的細菌感染症のリスクを考え抗生剤予防内服が積極的に検討されるべきである。
【症例】18歳男性。心大血管形態は右室型単心室、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、動脈管開存、主要体肺動脈短絡、下大静脈欠損。心房位は右側相同、胸部臓器位は逆位、腹部臓器位は左側相同で、脾臓を右側に複数個認めた。
手術適応外と判断され未手術のまま経過観察されていたが、三尖弁閉鎖不全と大動脈閉鎖不全による両心不全およびチアノーゼが著明なため、心負荷軽減目的に16歳時にBentall+三尖弁置換術が行われた。慢性心不全のためβblocker、ACE inhibitorの内服治療が開始された。その後、発熱エピソードを反復。抗生剤投与は有効だが抗生剤を中止すると間もなく再発熱し、毎月入院加療を要した。培養から有意菌は検出されなかったが経過から細菌感染症と判断した。感染症罹患時には心室頻拍、心室細動を繰り返した。抗不整脈薬内服でのコントロールが困難なため、ペースメーカーと皮下植え込み型除細動器(s-ICD)が植え込まれた。ICD植え込み後にB群連鎖球菌感染による敗血症を起こしICDが作動した。末梢血塗抹検査でHowell-Jolly小体陰性、99mTc-スズコロイドによる脾臓シンチグラフィ陽性(脾臓を複数個確認)、脾体積164cm3と、脾臓の存在は確認されたが脾機能が低下していると考え、急性期抗生剤治療終了後、無脾症に準じてアモキシシリン予防内服を開始し退院した。その後は感染による病院受診はなく、ICDも作動せず、心不全の急性増悪もない。
【考察】多脾症は機能的無脾状態になりうるとされる。また心不全時には脾臓体積が増加するという報告があり、脾うっ血による脾機能低下も示唆される。敗血症既往があり慢性心不全の多脾症患者は、致死的細菌感染症のリスクを考え抗生剤予防内服が積極的に検討されるべきである。