[I-P08-06] 心室中隔欠損閉鎖術後の完全右脚ブロック -危険因子ならびに経過-
キーワード:右脚ブロック, 心室中隔欠損, リスクファクター
(背景) 心室中隔欠損(VSD)閉鎖術後完全右脚ブロック(CRBBB)は,術後合併症の一つである.(目的) 当院におけるVSD閉鎖術後CRBBB発症のrisk factorならびに発症後の経過を追跡した.(対象と方法) 術後6か月以上follow-upできた2014年1月から2018年6月までの症例で,術前12誘導心電図(12ch ECG)上CRBBB(-)である膜様部ならびに筋性部流出型VSD 88例(うち21 trisomy 18例)で検討した.手術時年齢6.4か月(中央値), 体重5.8kg(中央値),VSD閉鎖術は全例右房切開approachによる結節縫合で施行した.PA banding先行例は11/88例(13%),同時手術はPA plasty 10/88(11.3%),右室心筋切除術6/88(6.8%)であった.CRBBBの定義は12ch ECG上QRS波の特異的所見, aVR誘導のlate R波(+)ならびにQRS幅≧100msをもって判定,術前,術後急性期,慢性期所見を経時的に解析.術後急性期12chECG所見からCRBBB(+)をC群(39例),CRBBB(-)をN群(49例)にわけ,心エコー検査で術後遺残短絡の経時的観察、また術前因子(21 trisomy例,PA banding先行例,手術時体重,年齢,心臓カテーテル検査での心室容積,EF,平均肺動脈圧, Rp, hANP, BNP値), 術中因子のVSD形態, VSD/BSA(mm/mm2),pouch形成ならびに同時右室流出路筋切除術の有無を比較検討.(結果) 手術死亡,遠隔期死亡例なし. 術後1年で少量の遺残短絡を8例(C:N=4/33:4/46)認めたが,術後2年全例遺残短絡は消失.手術時体重(C:N=6.2±2.5kg:8.8±7.8, P=0.04)ならびにpouch形成の有無(C:N=6/39:19/49例,P=0.02)で有意差あり. また術後急性期12ch ECGのaVR誘導でlate R波幅<80msecの二峰性波形あるいはS波の頂点とlateR波の頂点幅<40msecを示したC群8/39例(20%)で術前ECG波形に回復した。(考察) VSD術後急性期CRBBBは45%で発症したが,術後回復症例もあり手術時の右脚損傷予防に関してさらなる検討も必要と考える.(結語) VSD術後CRBBB発症のrisk factorは低体重,pouch形成(-)で,術後回復する症例も経験した.