[I-P09-02] 4D flow MRIによるFallot四徴症心内修復術後の左室流出路血流の解析
キーワード:心臓MRI, ファロー四徴症, 4D flow
【背景】Fallot四徴症(TOF)では、心内修復術後の遠隔期に上行大動脈の拡大をきたしやすい。その成因として、大動脈中膜の組織学的な異常、および大動脈弁逆流や右側大動脈弓などの血流の異常が関与するとの報告があるが、いまだ不明な点が多い。【目的・方法】TOF 心内修復術(ICR)後の症例で左室流出路(LVOT)を3d cine phase contrast MRI(4D flow)で解析し、血流動態と大動脈基部拡大の関係を考察する。症例は30歳から52歳までの6名(男性3名、女性3名)、MRIから計測したValsalva径と4d flowで解析したLVOTの血流の流跡線、血管壁の壁せん断応力(WSS:Wall share stress)について検討した。健常者(3名)、大動脈二尖弁(BAV)症例(3例)にも同様の解析を行い、比較した。【結果】6名の対象のValsalava径は31~44mm(z=+1.7~+5.1)に分布していた。Valsalava径の拡大がz=+4.5以上の重症例では、弁上部から螺旋状の乱流が認められた。WSSには有意な違いは認められなかった。健常者の血流は全例層流で、WSSは低値であった。BAV症例では血流は層流だが、弁上部の壁に跳ね返る血流により同部位でのWSSの上昇を認めた。【考察】TOF術後例では、BAVと異なり乱流が認められ、WSSはBAVほど高くなかった。理論的には、血管径拡大はReynolds数の増加をきたすので乱流が起こりやすくなるが、乱流が血管径拡大の原因となるかどうかは明確ではない。また、TOFに特徴的なLVOTおよび大動脈弁の形態により、速度ベクトルの比較的そろっている螺旋状の乱流が生じることが考えられる。【結語】Fallot四徴症(TOF)心内修復術後の遠隔期に重度の上行大動脈拡大をきたしている症例では、LVOTに螺旋状の乱流が認められる。