[I-P09-06] ASD診療におけるMDCTの役割 ― 当院の5年間の変遷・ ASO適応を確認するTEEはもう不要?―
キーワード:心房中隔欠損症, MDCT, ASO
【背景】ASDは、カテーテル治療の適応も広がり、治療時期・方法の選択は多岐にわたる。【目的】ASD診療において、MDCTが果たしてきた役割を検討する。【方法】2014-2019年1月までの5年間に、心房中隔欠損症が主診断で、MDCTを施行した症例を後方視的に検討した。検査時年齢、検査前診断、MDCT検査の目的、検査後診断、最終診断、治療方針決定の貢献度を調べた。【結果】22人が25回のMDCTを試行していた。検査時年齢は5か月-41才(中央値5才)で、検査前診断はASD 単独が17(治療前12、治療後5)、副診断はPDAが2、PAPVCが2、肺静脈狭窄が1、肺動脈狭窄が1、心筋症が2。検査目的(2例に2回答あり)はASD以外の他病変の確認 16(PAPVC 8,PAS 1, PVS 1など)、ASD形態 4、ASO後のデバイス形態の確認 4、気道病変の確認 2、開心術後 2ヶ月でIE発症例の塞栓症確認 1で、ASD形態を評価できなかった1を除き、26病変は評価できていた。CT検査後に診断が訂正されたのは2名で、孤立性の肺静脈還流異常 1、病変なしが 1だった。ASD shuntがない証明は、それぞれカテーテル検査と、再度のエコー検査を必要とした。治療方針決定の貢献度として、以前はASD以外の病変の評価が主だったが、5年間の経緯で、ASDの形態、ASO後の留置の評価が増える傾向にあった。最近経験した2歳女児(13.4Kg)では、心臓内腔を300HU以上の高いCT値で均一に造影し、さらに画像処理上の工夫をすることによって、きわめて明瞭な3D画像が得られ、全身麻酔下で予定していたTEEは不要となり、下後方のrim欠損の診断から手術の治療方針となった。【考察】ASD診療においてMDCTは求められた検査目的をほぼ満足に果たせていた。近年は放射線科のテクニカルスタッフと治療方針決定に何が必要な情報かを共有することで、TEEに迫る画像情報が得られるようになり、治療方針決定やデバイス治療後の評価にも大きな役割を果たしていた。