[I-P10-02] 同時期に発症し急激な心不全の進行を認めた拘束型心筋症の双胎例
Keywords:拘束型心筋症, 乳児, 双胎
【背景】拘束型心筋症(RCM)は拡張障害を主体とする稀な心筋症である。小児のRCMは予後不良で、早期に心臓移植を必要とする例も多いが、その臨床経過に関しては不明な点も多い。我々は乳児期に発症し、急激な経過をたどったRCMの双胎例を経験した。【症例】母体は32歳の初産で, 妊娠初期の胎児エコーで二絨毛膜性双胎(DD双胎)と診断された。在胎36週4日に帝王切開で出生し、第1児は体重2314g(AFD)、第2児は体重1962g(SFD)であった。心疾患の家族歴はなかった。新生児仮死のためNICUに入院したが、経過良好で日齢13と19に退院した。退院前の心エコー検査では心機能の異常は認めなかった。第1児経過:生後9か月時に活気低下、哺乳不良を主訴に来院した。心エコー検査で左室の拡張障害と左房の拡大を認め、RCMを疑った。また心嚢液貯留もあり、拡張障害の増悪因子になると判断し心嚢ドレナージを施行した。その際、血圧が低下し体外式膜型人工肺(ECMO)による循環補助を要した。入院2日目、ECMO下に心筋生検を行い二次性心筋症を疑う所見を認めなかったため、特発性RCMと診断した。ECMOによる循環維持を継続したが、心機能は回復せず入院13日目に永眠した。第2児経過:第1児入院後5日目、活気低下が出現したため心エコー検査を施行した。第1児と同様、左室の拡張障害と左房の拡大を認め、RCMと診断した。第1児の経過から急激に病態が進行し救命困難なことが予想されたため、ご家族の希望を確認した上で積極的治療は行わない方針とした。入院後、心不全は急激に進行し入院20日目に永眠した。【考察】稀な病態のためRCMの臨床経過は未だ不明な点が多い。遺伝子的背景が同一である一卵性双胎の心筋症においても、その臨床経過は必ずしも同一ではないことがある。一方、自験例からはDD双胎においても同時期に発症し、かつ同様の経過をたどる可能性が示唆された。今後、症例の蓄積が望まれる。