[I-P10-04] 九州地区における小児心筋症診療の今後
キーワード:小児心筋症, 重症心不全, 心臓移植
日本において18歳未満の小児に発症する心筋症は年間数十例程度と推測され、重症心不全を呈した場合には補助人工心臓の装着、そして心臓移植を考慮しなければならなくなる重篤な疾患である。2016年以前は乳幼児に装着可能な補助人工心臓であるBerlin Heart EXCOR TMを装着・管理できる医療機関が九州に存在しなかったため、補助人工心臓を必要とするような重症心不全症例は関西や関東の医療機関へ搬送しなければならず、結果的に治療を諦めることとなったり、家族の身体的・精神的・経済的負担も多大なものとなっていた。当院は2017年に九州で唯一のBerlin Heart EXCOR TMを装着可能な医療機関となり、現在も拡張型心筋症の幼児に装着して管理を継続している。Berlin Heart EXCOR TM導入以降、実際に当院への補助人工心臓装着や心臓移植を見据えた小児心筋症の診療依頼件数は増加傾向にあり、2016年度までは年1-2例程度であったものが、2017年度は7例、2018年度は6例となり、その中には九州各県からの依頼が含まれている。また重症心不全や呼吸不全のために当院でECMO管理した18歳未満の小児例は、2016年度3例、2017年度9例、2018年度7例と、着実に症例を蓄積して行くことができている。小児心筋症、小児重症心不全診療は、オールジャパン体制で取り組む必要のある重篤な疾患だが、九州地区の中心的医療機関として当院が担うべき役割は大きい。本発表では、大きな変革期を迎えている九州地区における小児心筋症診療について、当院の診療実績を振り返りながら今後の当院の役割を考察し、九州全体の小児心筋症診療の未来を考える。