[I-P11-05] より安全な心筋生検のための適切な管球角度の検討
キーワード:心筋生検, 事前の画像検査, 合併症の軽減
【緒言】心筋生検を安全に行うためには心室中隔に生検鉗子を向けることが肝要である。一般に心室中隔は胸壁の中央から左後方に位置し、正中線から約45度傾いていると言われているが、実際に心筋生検を必要とする症例は心室中隔の位置・方向が通常と異なり生検位置の決定に難渋することがある。院では患者ごとに中隔角度を事前に把握し管球の角度をそれと垂直・平行の2方向に設定しながら心筋生検を行っているが、今回この方法の妥当性について検証した。【方法】当院において2015年から2019年に心筋生検が行われた症例を対象とし、画像検査から正中線と心室中隔の角度を後方視的に収集し、加えて生検時に2方向からの撮影を行っていた症例に対しては中隔と鉗子のなす角度を計算した。【結果】対象となった症例は13例で年齢は中央値7歳(2.5~15.5歳)、男児6名。心臓移植前の状態を別の症例と仮定すると中隔の角度が得られたものが20例であり、心臓移植後が10例、拡張型心筋症が7例、心筋炎後心筋症が2例、拘束型心筋症が2例、拡張相肥大型心筋症が1例であった。心室中隔角度の中央値は54.5度(20~75度)であった。心室中隔と生検鉗子の角度が算出できた症例は4例であり中央値17.0度(9.3~33.5度)であった。【考察】中隔角度は症例毎に多様であり、LAO45度などに管球を固定した場合は中隔角度と-25~30度ずれることが判明した。心室中隔と鉗子の角度を考慮に入れるとLAO45度の管球と鉗子の角度は-10~65度となりうるため、鉗子の向きによって鉗子が実際に中隔に向いているかを判定することが困難であると考えられた。【結語】症例ごとに心室中隔の形態・方向を把握し、それに応じて管球角度を設定することで心筋生検の手技を均一化し、安全に行うことができると考えられる。