第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

染色体異常・遺伝子異常

ポスターセッション12(I-P12)
染色体異常・遺伝子異常 1

2019年6月27日(木) 17:40 〜 18:40 ポスター会場 (大ホールB)

座長:与田 仁志(東邦大学医療センター大森病院 新生児科)

[I-P12-01] 当院における13トリソミーに対する心臓手術の経験

森田 理沙1, 浦山 耕太郎1, 杉野 充伸1, 田原 昌博1, 山田 和紀2 (1.土谷総合病院 小児科, 2.土谷総合病院 心臓血管外科)

キーワード:13トリソミー, 染色体異常, 先天性心疾患

【目的】近年,染色体異常を有する児に対する医療介入は見直され,13トリソミーや18トリソミーなどの予後不良の染色体異常を有する児に対しても,家族との話し合いのもと積極的に外科治療を施行されている.当院ではこれらの児の心疾患に対して手術介入を行っており,広島県ほぼ全域の症例を担っている.過去10年に当院で心臓手術を行った13トリソミーの児の予後について検討する.
【方法】2009年4月1日から2018年3月31日までに当院で心臓手術を施行した13トリソミーは5例であった.これらに関して,在胎週数,出生体重,原疾患, 転帰について後方視的に検討した.
【結果】手術症例5例のうち,当院での出生は2例,他院からの紹介が3例であった.手術希望のため当院で出生したが手術前に死亡した症例が1例あった.広島県内の他の周産期センターにアンケート調査を行い,同期間に広島県で出生した13トリソミーは全16例で,うち12例に先天性心疾患があった.手術症例の平均在胎週数;37.3 週,平均出生体重;2,075 g,男女比2:3であった.心疾患の内訳はファロー四徴症,心房中隔欠損症,大動脈縮窄症・心室中隔欠損症,両大血管右室起始,動脈管開存症がそれぞれ1例ずつであり,手術は肺動脈絞扼術が3例,体肺動脈短絡術が1例,動脈管結紮術が1例であった.3例が在宅移行後に死亡し,平均生存期間は1.3歳であった.2例は現在入院加療中で,在宅移行にむけて調整中である.また,同期間中の先天性心疾患を有しない13トリソミーは,全例で在宅移行が可能であった.
【結論】13トリソミーの生命予後は不良であるが,先天性心疾患に対する手術介入により臨床症状が改善し,在宅に移行できる可能性が示唆された.症例によっては長期生存する可能性もあり,治療方針については医療スタッフチーム,両親とともに児の最善の利益を得るため十分な検討を要し,患児・家族の社会背景を十分に理解し治療にあたる姿勢が望まれる.