[I-P12-05] 当院で経験した18トリソミー児の肺高血圧と生存期間に関する後方視的研究
Keywords:18トリソミー, 肺高血圧, 在宅移行
【目的】先天性心疾患を有する18トリソミー児において肺高血圧への有無が生存期間や在宅移行に影響を与えるのかを検討した.【対象と方法】2004年1月~2018年12月の15年間に当院新生児医療センターに入院歴のある18トリソミー39例を,診療録より抽出し,後方視的に検討を行った.【結果】39例のうち3例は,肺動脈狭窄の合併などから手術介入なしで肺高血圧なし群に分類した.先天性心疾患による肺高血圧を有していた36例のうち,心臓手術を施行しなかった17例と,動脈管結紮術のみ行い肺動脈絞扼術を行わなかった2例の,合わせて19例を肺高血圧あり群に分類した.肺動脈絞扼術のみ施行した4例,肺動脈絞扼術と動脈管結紮術の両方を施行した13例に肺高血圧を認めず,手術介入なしで肺高血圧のなかった3例と合わせて20例が肺高血圧なし群に分類した.肺高血圧あり群の生存期間中央値は,3.7カ月,肺高血圧なし群の生存期間中央値は,32.0カ月と生存期間は肺高血圧なし群が有意に長かった.在宅移行の有無については肺高血圧なし群では20例中18例と90%が生存退院を得られているのに対し,肺高血圧あり群では,19例中14例と74%が死亡退院となっており,有意に肺高血圧なし群が生存退院を得られていた.【考察】当院では,NICUに入院した18トリソミーの児の治療の目標を在宅移行に置いており,ご家族の希望と,在宅移行への必要性から治療を提案している.今回の検討では,交絡因子の影響は考慮されるが,肺高血圧への介入例が大多数を含む肺高血圧なし群が長期生存を得ていた.当院での18トリソミー児の治療目標は引き続き在宅への移行とする一方で,本研究の結果を考慮すると,より長期的な生存を見越した肺高血圧への介入も考慮される.