[I-P13-01] 生後3か月で心筋肥厚が出現し、Danon病と診断したFallot四徴症の1例
Keywords:Danon病, 肥大型心筋症, Fallot四徴症
【背景】Danon病は、肥大型心筋症・ミオパチー・精神遅滞を3徴とする自己貪食性空胞性ミオパチーである。私たちはミオパチーが疑われたFallot四徴症の児で、乳児期早期にDanon病と診断し治療介入できた1例を経験した。【症例】母は妊娠経過中にWPW症候群を指摘されていた。症例は在胎37週、胎児機能不全のため帝王切開で出生した。出生時体重1,837g、Apgar score 7/8。心エコー検査でFallot四徴症と診断した。SpO2 90%台後半で体重増加が得られていたが、筋緊張低下、血清クレアチニンキナーゼ高値(400IU/L前後)を認め、発育発達を含めた外来経過観察を続けた。3か月時にSpO2 70%台まで低下し、啼泣時のチアノーゼが増強した。心エコー検査で著しい心筋肥厚(中隔側 13mm、左室後壁側 10mm)を確認し、心筋肥厚に伴う右室流出路狭窄の悪化がチアノーゼ増強の原因と考えた。集中治療管理下で鎮静、β-blocker内服、一酸化窒素吸入を開始し、一時的に症状の改善が得られたが、点滴補液からの離脱困難であり、7か月時にcentral shunt術を行った。心筋症遺伝子検査でLAMP-2遺伝子の異常(Flame-shift変異)があり、Danon病と診断した。現在1歳8か月で、SpO2 80%台で発育発達遅滞がみられる。β-blockerでの加療を継続し、明らかな不整脈は確認されていない。両親・弟の遺伝子検査を行ったが既知の遺伝子異常は認めなかった。【考案・結語】乳児期発症のDanon病は予後不良であり、進行性の心筋障害や不整脈が予後決定因子で致死的となる。また基礎疾患を合併したDanon病の報告はないが、本症例はFallot四徴症と診断され定期的な心機能検査を行っていたため、早期診断、対症療法を行い、短期的な予後の改善が得ることができた。しかしこれらの対症療法の長期的な効果に関しては知見に乏しいため、今後も慎重に経過をみていく必要がある。