[I-P14-02] 胎児不整脈症例の出生後の検討
キーワード:Fetal Arrhythmia, Fetal Therapy, Predictors
出生直後から新生児期に認める多くの不整脈は自然軽快するが、その中で循環動態破綻をおこし、出生直後からの除細動や静注・内服治療、またはペーシングが必要となる重篤な症例が一部存在する。今回我々は、2015年1月から2018年11月までの約4年間で胎児不整脈と診断した症例が10例存在したため、出生後の診断含めて後方視的に検討し報告する。 いずれの症例も産婦人科医の胎児エコーで不整脈を認めたため小児循環器医によるレベルII胎児心エコー依頼となった。小児循環器医による初回胎児心エコーは在胎19週1日から38週3日の間で施行され、各々胎児心エコー診断は、上室性期外収縮 3例、心室性期外収縮 1例、持続性上室性頻拍 2例、一過性上室性頻拍 1例、非持続性洞性徐脈 1例、非持続性2:1房室ブロック 1例、非持続性2度房室ブロック 1例であった。全ての症例で構造的な先天性心疾患は認めず、胸腹水の出現もなかった。持続性上室性頻拍を認めた2症例に対しては、いずれもジギタリスの母体投与で治療を開始し、1症例でジギタリス開始後に徐脈頻脈が交互に出現したためソタロールに切り替えてコントロール可能であった。出生後の新生児心エコーではいずれの症例も構造的先天性心疾患を認めず、出生時から生後5日目の退院時までと生後1ヶ月の検診時、いずれの時期においても不整脈を認めなかった。 以上、今回の症例からは出生後に重篤な不整脈を呈する症例の予測は困難であったが、出生後の重症不整脈の予測因子同定のために更なる症例の蓄積が必要である。