[I-P14-05] 当院における出生後に胎児診断と異なる診断に至った先天性心疾患症例の検討
Keywords:出生前診断, 胎児超音波検査, 不一致
【背景】近年、胎児超音波検査(UCG)により先天性心疾患(CHD)を出生前診断することで、生後の新生児管理の質が向上している。一方、出生前診断はあくまで“暫定診断”に過ぎず、生後の確定診断によって管理方針の変更が必要となるケースもある。【目的】当院での胎児UCGによるCHD出生前診断と出生後異なる診断となった症例について、その特徴と傾向について検討する。【対象・方法】2014年から2018年の5年間において小児循環器医による胎児UCGでCHD出生前診断をした症例のうち、胎内死亡ならびに他院分娩にて最終診断が確認できなかった症例を除く32症例。診療録をもとに後方視的に検討した。【結果】出生前診断した32例中、出生後主病名が変更となったものは8例(28%)であった。DORVと出生前診断した症例が最も多く、その半数(5例/9例)が生後の確定診断と異なっていた(TOF 3、PA/VSD 1、TGA 1)。TGAと出生前診断した2症例の全てが生後確定診断と異なっていた(DORV 2)。一心室系疾患6症例(HLHS 2、PA/IVS 2、TA 2)は出生前後診断で全て一致していた。血行動態的に出生前後と診断が異なったため生後管理に大きく影響した症例は1例(3%)で、IAAの見逃し症例であった。【考察】胎児UCGでのDORVとTGAの鑑別に大血管位置関係があげられるが、malalignment VSDを有する症例は鑑別が困難であり、大血管前後関係を十分に評価する必要がある。DORV/PSとTOFについては、胎児期特有の右心優位循環により流出路位置関係からDORVと判断する傾向が強かった。IAAの見逃し症例は短軸評価で太いD.AoをArchと判断しており、長軸でのArch連続性を正確に描出できていなかった。【結語】胎児UCGでの正確なCHD出生前診断には、大血管位置関係と心室流出路を評価することが重要である。短軸評価については胎児UCGの優位性は大きいが、長軸評価は胎児の態勢に影響を受けるため体循環閉塞性疾患の評価には十分に注意を要する。