[I-P15-01] 左心低形成症候群(HLHS)のNorwood(NW)耐術後Glenn(GL)手術迄のコーディネート~安全域に到達するために~
キーワード:HLHS, VCC, MS/AA
<背景>HLHSは、first palliationの両側肺動脈絞扼術(bilPAB)を経てearly stage Norwood(NW)が広く施行される様になり、救命率は著しく向上している。一方で、NW後は様々な要因による様々な程度の心不全から不安定な状態にあるため、Glenn(GL)手術迄のコーディネートには細心の注意が必要である。<目的>安全域と考えるGLに到達するために、HLHSのrisk分類とコーディネート方法を検討すること<対象・方法>2013年1月から2018年12月末迄に狭義のHLHSで、NW施行の20例中耐術19例を対象とし、胎児診断の有無、心室冠動脈交通(VCC)の有無、BASの有無、NW時日齢/体重、NW前後のスコア化(1:trivial,2:mild,3:moderate,4:severe)した三尖弁逆流(TR)、NW前後のQRS幅、NW前後ST低下の有無、在院日数(GL迄入院継続の場合はGL迄日数)などを検討した。<結果>MA/AA,MA/AS,MS/AS,MS/AAは各々7,2,4,6例。胎児診断は14例(73.7%)。VCCはMS/AAの6例中3例に認めた。BASは9例(47.4%)施行。NW時日齢/体重は18±7日/ 2804±191g。NW前後でTRは1.6→1.9、QRS幅は73.8→78.3msec。ST低下を3例で認めた。在院日数は中央値58日(38~186日)。MA/AA,MA/AS,MS/ASのLow risk群は2例(1例は退院直前死亡)を除いて退院しGL到達。GL迄入院継続は3例(MS/AA:2例,MS/AS:1例)。<考察>High riskとされるMS/AA:6例について、BAS不要2例はNW耐術後退院してGLに到達。一方、BASを要した3例中2例はVCCとST低下を認めGL迄入院継続、1例はST低下なく退院。BAS不要でVCCとST低下を認めた残り1例はGL迄入院継続。VCCの有無評価は難しく、疑われる場合はST低下の有無で慎重な対応が望ましいと考える。また、MS/ASの入院継続例は横隔神経麻痺に対して横隔膜縫縮を2回必要としそのままGLに到達。<結語>NW前後でST低下を認めるMS/AAはVCCを考慮してGL迄入院継続としている。中でもBASを要する症例はVCCの影響の大きさが懸念される。