[I-P15-02] Scimitar症候群を伴う左心低形成症候群の3例
Keywords:左心低形成症候群, シミタ-症候群, 複雑心奇形
【はじめに】左心低形成症候群にScimitar症候群を合併することは稀であり,症例報告も少ない.【症例1】在胎33週,体重1.7kgの女児.緊急帝王切開術にて出生したが,重症仮死であり,直ちに人工呼吸器管理となった.レントゲンと心エコーにて左心低形成類縁疾患,右肺低形成と診断され,lipo-PGE1とDOA投与下に当院へ搬送となった.当院での心エコー及びCTにてScimitar症候群合併と判断し,両親との話し合いの結果,外科的手術は行わず内科的管理のみ継続する方針となった.その後,心不全に伴う多臓器不全により生後2ヶ月で死亡した.【症例2】在胎38週,体重2.7kgの女児.胎児期に診断され,出生後はlipo-PGE1投与を行い,日齢10にNorwood手術(右室-肺動脈短絡5mm)を施行した.術後は一時的にECMO管理を要したが,生後2ヶ月時に在宅酸素療法にて退院となった.徐々に低酸素血症が進行し,生後3ヶ月時の手術待機中に高度低酸素血症による徐脈,心停止を来たし,ECMO管理となった.右室-肺動脈短絡のデクリッピングにて低酸素血症が改善し,ECMO離脱可能となったが,心停止による低酸素性脳症合併を認めた.その後,重症感染症により1歳5ヶ月に死亡した.【症例3】在胎39週,3.2kgの男児.胎児期に診断され,出生後はlipo-PGE1投与を行った.右肺動脈は低形成で,肺分画症の合併を認めたため,日齢8に腹腔動脈から右肺に向かう側副血管に対してコイル塞栓術,日齢10にNorwood手術(右室-肺動脈短絡6mm)を施行した.術後は一時的にECMO管理を要した.抜管を試みるも肺低形成による呼吸不全を認め,気切管理にて生後9ヶ月時に退院となった.1歳時に心臓カテーテル検査を実施し,左肺動脈平均圧は18mmHgと高く,Glenn手術困難と判断した.現在は内科的管理を継続しながら,Glenn手術への進む方法を検討している.【考察】Scimitar症候群を合併する左心低形成症候群は極めて予後不良であり,Fontan到達は難しい.