[I-P15-04] 有意なVSD, LVOTSのない修正大血管転位症のunnatural course
Keywords:修正大血管転位症, double switch operation, PA banding
【背景】合併心奇形のない修正大血管転位症(cTGA)に対するdouble switch operation(DSO)はcontroversialである.【目的】LV trainingを目的としたPA banding(PAB)後にDSOを行った症例の経過を明らかにすること.【方法】1999年1月以降, PABを実施した修正大血管転位症11例(男7, 女4)をPAB1回(A群), 2回(B群), DSO未到達(C群)として, 特にAB群についは手術の実施時期・術前心機能と術後変化・周術期と遠隔期の合併症・転帰を調査した.【結果】A群は5例で, PAB中央値0歳9ヵ月(0歳1ヵ月~1歳8ヵ月)で実施し, DSO中央値3歳2ヵ月(2歳3ヵ月~4歳10ヵ月)で到達した. B群は4例で, 初回PAB中央値6歳7ヵ月(2歳0ヵ月~11歳)で実施し, A群に比して介入時期が遅かった. 当院初診が遅いことに起因した. DSOは中央値12歳(3歳10ヵ月~16歳)で実施した. C群は2例でPAB後にDSO待機中である. DSO前の心機能はLVEDV中央値110.8% of Normal(84.0~149.0), LVEF中央値60.0%(49.0~71.0), LVp/RVp中央値0.93(0.86~1.36)であった. AB群間に有意差は認めなかった. 術後三尖弁逆流は全例改善した. 術後急性期の合併症は乳糜胸水1例, 痙攣・慢性硬膜下血腫1例でいずれも保存的に改善した. 遠隔期にcAVB1例(ペースメーカー植え込み), PMI後のLV機能不全1例(pacing siteの変更で改善), SSS・VF1例(ICD植え込み),severe AR1例(弁置換2回実施)であった. severe AR合併例はB群に含まれ, 初回PAB前に他院でconventional repair (VSD closure)を実施した例であった. 13歳時心不全で失った. 生存8例の年齢は2019/2/1現在, 中央値14.5歳(4歳8ヵ月~31歳)であった.【結論】DSO後は概ね良い体心室機能を維持できている. DSOを目指した治療方針を選択する場合は, 初回PAB実施時期を早めることで外科的介入の回数を減少させ, より早い段階でDSOに到達できる. これによりcriticalな合併症を回避できる可能性がある.