[I-P16-05] 経皮的心房中隔欠損症閉鎖術後の1度房室ブロックの臨床的経過の検討
Keywords:経皮的心房中隔欠損症閉鎖術後, 房室ブロック, device/身長比
【背景】経皮的心房中隔欠損症閉鎖術(Transcatheter closure of atrial septal defect:TC-ASD)後の約6%に房室ブロック(AVB)を発症することがある。その中で、完全AVBの報告は多いが、1度AVBは少数の報告のみである。そこで、当科で経験した4例のTC-ASD 後の1度AVB症例を検討したので報告する。【症例】症例1)4歳男児、身長103.7cm、体重15.0kg。ASD最大径は13.4mmで、IVC rim 4.6mm、TV rim 9.8mm、Amplatzer15mmを留置。PQ時間は0.138→0.22と延長、術後3日目よりプレドニン15mgを3日内服。4年経過したが、PQ時間は0.246と延長したまま。device/身長比(D/H)=0.14。症例2)7歳男児、身長124.2cm、体重22.5kg。ASD最大径は14.2mmで、IVC rim 5.1mm、TV rim 11mm、Occlutech19.5mmを留置。PQ時間0.126→0.324と延長。短時間ではあるもののW型2度AVBを認めたため、術後2日目よりプレドニン45mgを5日、20mgを3日内服、術後5日目にPQ時間正常化。D/H=0.16。症例3)4歳男児、身長99.7cm、体重15.4kg。ASD最大径は17.9mmで、IVC rim 6.6mm、TV rim 13.8mm、Occlutech21mmを留置。PQ時間0.156→0.295と延長したが、5分後には0.196と改善。D/H=0.21。症例4)4歳男児、身長109.9cm、体重17.5kg。ASD最大径は20mmで、IVC rim 5.2mm、TV rim 15.6mm、Occlutech27mmを留置。PQ時間0.154→0.21と延長、プレドニン15mgを3日、10mgを7日内服、術後4か月で正常化。D/H=0.25。【考察】AVBのリスクは、19mm以上のdeviceと、D/Hが0.18以上とされているが、今回、一番D/Hが小さい症例に1度AVBが残存。3度AVBに進行する症例はなかった。AVBを発症しなかった症例群と比較すると、AVB群は、年齢、身長、体重は有意に小さく、D/Hは有意に大きかった。【結語】TC-ASD後に1度AVBを合併した4例を経験した。1度AVBであれば経過観察のみで良いが、2度以上に進行する場合はこれに対する治療を考慮する。