[I-P17-02] 三尖弁置換術後の人工弁周囲逆流(paravalvular leakage: PVL)に対し、経カテーテル的PVL閉鎖術を施行した、Fontan術後左心低形成症候群の1例
キーワード:paravalvular leakage, 経カテーテル的PVL閉鎖術, 左心低形成症候群
【背景】弁置換術後のPVLは、人工弁置換術後の5-17%に生じ、経カテーテル的PVL閉鎖術(PTC)の高い成功率が報告されている。しかし、小児複雑心奇形での報告はない。今回、三尖弁置換術(TVR)後のPVLに対し、PTCを施行した、Fontan術後左心低形成症候群(HLHS)の一例を経験したので報告する。【症例】14歳、男児。在胎39週6日、3220gで出生した。心エコー検査でHLHS(MA/AA)と診断し、日齢9:Norwood手術、生後3か月:両方向性Glenn手術、3歳時:Fontan手術を施行。その後、三尖弁逆流の進行の為、14歳時: TVR(ATS24mm AP360)を施行した。心カテーテル検査で肺動脈楔入圧(PAwP): 9mmHg、経食道心エコー検査(TEE)で置換弁の11時方向に最大径:7mmの欠損孔があり(人工弁までの距離3mm)、moderate PVL(逆流率 41%)を認めた。EF:32%で再手術のリスクも高く、単孔性で屈曲の無い病変のためPTCを選択した。術前3DCT でも、同位置に5.8×9.3mmの孔が存在し、retrograde approachでも心房内にループが作れると予想した。実際の手技では、0.035 Guide wire(GW)でPVL部を通過後、stiff typeのGWに入れ替え、左房内にループを形成した。内腔の大きいGuiding catheter(5Fr Destination)を左房内に進め、Deviceは(PVL最大径)≦size≦(PVL最大径+人工弁までの距離)を目安に、AVP-2(φ10mm)を選択した。近位側のdiscとlobeの部分をGuiding catheterに引き込み、中央のlobeの部分で欠損孔を塞ぐ形でuncover、Deviceを留置すると、短絡はintra-disk flowのみとなった。閉塞後のPAwP: 8mmHgに改善し、術後6か月で明らかな合併症はない。【結語】Fontan循環の血行動態に与えるPVLの影響は大きく、低侵襲で閉鎖が可能なPTCの有効性は高い。しかし、小児複雑心奇形では経験値が低く、かつ難易度の高い手技であり、アプローチ法や形態によるDeviceの選択は術前及び術中のCT・3DTEE等を用いて検討されるべきである。