[I-P18-01] フォンタン手術前に施行したアブレーション治療困難例の要因
キーワード:アブレーション, 単心室, アミオダロン
【背景】単心室修復適応症例において乳児期より不整脈治療が必要な症例が存在する。当院では2015年以降、不整脈薬の内服症例では、アクセスが容易なTCPC前に電気生理検査(EPS)を施行し不整脈の再評価を行い、薬物中止、アブレーション(RFCA)等の治療方針を決定している。【目的】フォンタン手術(F術)前のRFCA治療困難例の要因についての検討【方法】F術前に不整脈薬を内服しておりEPSを施行した8例を対象とした。基礎疾患、不整脈、不整脈薬の種類、EPS、RFCAの転帰について後方視的に検討をおこなった。【結果】EPS施行時の年齢1.8(1.4-3.0)歳、体重9.9(7.8-11.2)kg。基礎疾患は無脾症候群6例、Ebstein奇形、右室性単心室がそれぞれ1例。不整脈は発作性上室性頻拍5例、心房頻拍2例、心房粗動1例。不整脈薬は、アミオダロン(AMD)3例、フレカイニド2例、AMD+ビソプロロール、ジソピラミド、ピルジカイニドがそれぞれ1例。EPSで頻拍誘発例は4例であり、いずれも後日RFCAを施行。誘発できなかった4例中2例はAMD内服例で十分なWashoutはできていなかった。AMD以外の2症例では内服中止。RFCA施行4例中、房室回帰性頻拍、Twin AV nodeを介する頻拍の2例は成功したが、房室結節回帰性頻拍、接合部頻拍や心房頻拍など多彩な頻拍を呈した2例は房室ブロックのリスク、マッピング困難であり治療困難であった。【考察】基本不整脈薬は休薬しWashout期間後にEPSを施行する方針としている。一方で不整脈発症により状態が悪化する症例も多く、Washoutに長時間要するAMDの場合は、十分な休薬は困難である。そのためEPSでの誘発に影響した可能性がある。RFCAも房室ブロックのリスク、不整脈の種類により困難例もあるが、F術前に不整脈の詳細な情報を知ることは有益であると思われる。【結語】AMD例では誘発困難な可能性があること、RFCAでの房室ブロックのリスク、多彩な不整脈などが出現する症例では治療困難と考えられた。