[I-P18-04] 新しいカテーテルアブレーションの低年齢児への応用ークライオアブレーションが奏功したAVNRTの3歳女児例ー
キーワード:クライオアブレーション, 房室結節リエントリー性頻拍, 低年齢児
【はじめに】房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)に対し、従来遅伝導路の高周波カテーテルアブレーション(RFCA)が行われてきたが速伝導路の焼灼による房室ブロック(AVB)が問題となる。特に小児でのRFCAではAVBのリスクが高いとされる。近年RFCAに変わる方法としてクライオアブレーション(cryo)が導入され術後のAVBのリスク低下や高い急性期成功率から小児例でも報告が増えている。一方5歳未満の乳幼児での報告例は少ない。【症例】3歳女児。体重11.3kg。TTN遺伝子変異を伴う先天性ミオパチーとASDが基礎疾患にある。同胞に同様の遺伝子変異を伴うミオパチーの家族歴があり拡張型心筋症による心不全のため3歳時に死亡している。2歳時にASDに対してカテーテル閉鎖術を施行。またその後より頻回にPSVT発作を認めたが、ATPの投与で軽快した。将来的な心筋症発症のリスクを考慮しEPSによる精査を施行した。心房頻回刺激、心房期外刺激で冠静脈洞入口部が最早期の頻拍発作が誘発された。His不応期での期外刺激ではresetできずAVNRTと診断。3DマッピングでHis電位が取れる部位を確認し、Freezor Maxを解剖学的遅伝導路に置いてアイスマッピングを行いAVBが起きないことを確認しcryoを施行した。His束記録部位の11mm下方を計4回cryo施行し合併症なく治療を終了した。術後半年が経過するが現在のところ再発はない。【考察と結論】3歳のAVNRT症例に対してcryoを行なった。cryoではアイスマッピングモードでAVBとなっても復温することで房室伝導障害を回避でき、また冷却中はカテーテルと心内膜が固着し安定することでアブレーション中の不意なカテーテルの移動がなく、合併症のAVBの回避につながるとされる。体格の小さい乳児においてもcryoを用いた治療は合併症回避の点からも有効な治療法になりうる。